ひょうきんなLouinoの記録 (お花屋さん)
その日も彼は佇んでいた。
母が入院して1ヶ月と少しが経った頃、
幼稚園の制服姿のまま、一輪の赤いバラと可愛いかすみそうを包んだ花束を嬉しそうに持って歩く息子の写真が送られてきました。
引っ越しをして通園方法が変わった息子は、幼稚園の帰り道に小道の角にある小さなお花屋さんと出会い、
赤いバラは、その日お迎えに来てくれたパパに初めて買ってもらったものでした。
その翌日はバラに合うお花をって、お迎えに来てくれたおじいちゃんにピンクのコスモスと黄色のまるいポンポン菊を買ってもらい、
そのまた翌日もね、Louinoはお花屋さんの前で佇んでいたんだって。
そんなに見つめるから、買ってあげちゃうよねってパパが。
送られてきたその写真から、母は彼の心情が手に取るように分かりました。
たった一枚の写真に写り込んでしまうくらいの彼の心情。
色々な気持ちが見えました。
何十日間分もの沢山の気持ちが身体から溢れ出るかのように写っていたのです。
頑張っているんだよね。
君は多くを語らないからね。
母は泣けてきちゃいます。
数日後、華やかになった花瓶に向かって遠くから手を合わせている息子の写真が送られてきました。
なにを拝んでいるの?ってパパに聞いてみたら、「お花がずっと元気でいられますように。」って言ってたって。
お花、大切にしてるんだね。
早く帰るからね。
春だからね、連日のようにお花が写った華やかな写真が送られてきて、母は嬉しいです。
今日も天気が良いなぁ。
病室で一人そんな写真たちを眺めながら、今日もリストの「愛の夢」を聴いて、心落ち着かせて寝ようかな。
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