![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/158109475/rectangle_large_type_2_d5bd701126b26404a3e687b349a7cf69.png?width=1200)
さざ波ヴェール
太陽の王子様は海がめに言いました
「三日後の流星群が降る夜に、必ず迎えに来るよ
その時一緒にこの海を越えて、新しい街に行こうね」
海亀は言葉を知りませんでしたので
大きく一回パチリと瞬きをしてみせました
「僕は太陽だから、夜はこの姿ではいられないのだけれど
君と一緒なら、きっと新しい姿になれるね」
海亀はどきり、どきりと
感じたことのないトキメキと
不安が入り混じるような不思議な感情に戸惑いました
だけれど
王子様の笑顔がピカピカと眩しかったので
もう一度大きくパチリと瞬きをしました
海の波に身体をまかせながら
海亀は思います
この大きなヒレが手と足に変わったなら
硬い甲羅が美しいドレスに変わったなら
ゴツゴツした皮膚がしなやかな長い髪に変わったなら
太陽の王子様の夜の姿は知らないけれど
ふたりで見る流星群はきっと綺麗なのだろうと
そんな海亀を祝福するように
さざなみは波のヴェールを海亀に被せてあげました
ザザーンと波が引くと
海亀の身体は見たこともない「新しい姿」になっておりました
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
❤️・コメント・フォローいつも届いております
皆様のお気持ちが励みになります
Instagram・tiktokやっております
宜しければプロフィールから覗いてみてください🌷
お読み頂き有難う御座いました
あなたの一日が今日も素敵な日でありますように
こやまさおり