突風吹いて、善と成す
「もうダメだ」と思った
走り抜けなければいけない時
僕は毎回心が折れそうになる
「こけそうになりながら、足を前に出して進め
そうすれば気付くとゴール地点にいるもんだ」
誰の言葉だったか
そうは言うけれど、鉛のように重くなった足はどう出せと言うのか
後ろからどんどんと追い抜かれて、ますます気持ちが負けていく
頭の良さなら隣の席のあの子
絵の上手さなら後ろの席のあいつ
では、僕には何があるのか
僕にはこの足の速さしかないのに
沢山の期待の視線と裏腹に鼓動と息が上がっていく
ああ、また…
そう思った時、突風が勢いよく吹き、背中を押した
ハチマキが吹き飛ぶ
皆の視線が一瞬外れる
風の道がシュルルと僕の前に現れた
ここだ、と思った
と同時にグイッと足を前に振り上げて、踏み込む
その後のことはよく覚えていない
気付くと僕はゴール地点に倒れ込んでいた
「勝ったって思ったんだけどなぁ」
同じ陸上部の友人がすっと手を伸ばして、立ち上がらせてくれた
泥だらけの膝を払いながら、額の汗を拭った
秋の風が心地よく、僕は何かが変わるのを感じていた
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
❤️・コメント・フォローいつも届いております
皆様のお気持ちが励みになります
Instagram・tiktokやっております
宜しければプロフィールから覗いてみてください🌷
お読み頂き有難う御座いました
あなたの一日が今日も素敵な日でありますように
こやまさおり
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?