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おいしい妄想もふくらむ。「自分だけの秘密基地」を見つけよう
出かける前の準備が楽しいのは、いくつになっても変わらない。
週末の冒険に向け、子どもが寝静まると、毎晩リビングから物音が聞こえるようになった。見ると、例のスタンレーのランチボックスとともに、コーヒードリッパー、キャンプ用のマグカップなどが、テーブルに所狭しと並んでいる。パッキング好きの夫が、ああでもない、こうでもないと、何度も荷物を詰め変えてはシミュレーションしているのだ。
私はというと、おいしいと評判のレトルトカレーや、コーヒー豆を買い込んだ。キッチンからは、アウトドアで映える木製のカトラリーやカッティングボードを見繕い、子どもが大好きなホットサンドの具材を吟味する。
家族4人分の食材と調理道具。いかに効率よくパッキングするかを考えるのが、夫のひそかな楽しみ。
キャンプ用品は自宅に一式揃っているため、道具の調達は問題なし。
一方で、難航したのが場所選びだ。せっかくの冒険に、整備されたキャンプ場では少々味気ない。見晴らしのよい展望台や河原など、さまざまな案が出たものの、結局はよく知った場所が安心だろうと、近所の山で手を打つことにした。夏の夜、夫がカエル調査(※)の行きつけにしている、標高360mほどの手ごろな山である。
(※)ライトを照らしながら山道を走行し、生息するカエルの種類、大きさ、数などを調べる
そして、待ちに待った週末。車のトランクに荷物を詰め込み、野営地を求めて山へと走る。
途中、目の前で何かがぴょんぴょん飛び跳ねた。野ウサギだ。うれしい出合いに、一同、期待も高まる。
ちなみに、この山ではウリボウやシカなどもたびたび見かけるため、我が家では“野生サファリパーク”と呼んでいる。
山で出合った野ウサギ。どこにいるか、分かりますか?
「ここ、いいんじゃない?」
賑やかな登山口を通り過ぎ、車を停めたのは、雑木林に囲まれた空き地。すぐ脇には小川が流れ、焚火に良さそうな小枝も転がっている。テーブルとチェアを並べ、ワンバーナーをセットすれば、さながら森の秘密基地だ。
大人になってから、これほど心躍ることがあっただろうか。ここで食べるごはんを想像するだけで、体じゅうのアドレナリンが放出されそうである。
辺りを見渡すと、少し先の空き地でおじさんが一人、焚火を楽しんでいる。道中では、車中泊らしき車も何台か見かけた。
それぞれの時間を過ごす、特別な場所。
冒険はきっと、自分だけの基地を見つけるところから始まっているんだ。
野営地の選び方
車を停められ、テーブルや椅子を置ける、平らな場所を探す。普段から、良さそうなポイントに目星をつけ、周囲の環境や安全を確認しておくとよい。
バーナーを使用する場合、公園・緑地は火気厳禁のケースが多いので注意を。禁止事項が書かれた周囲の看板などを確認し、ルールを守って遊ぼう。