暮らしに身近なウールができるまで
冬になると、温かさを求めてウールの製品を買う人も多いですよね。
日本はウールの消費量で考えると、人口対比で世界一。
自分の持ち物に一つは存在して、身近なものと感じる人が多いはず。
消費は世界一ですが、国産のウールというのは中々手に入れることが難しい。そういった背景からも、素材がどうできているのか考えたり、見たりする機会は少ないですよね。
宮城県南三陸町には、希少な国産ウールと国産羊肉「わかめ羊」を生産している場所があります。
そこは、「さとうみファーム」
海の近くで、南三陸で獲れたワカメを飼料化して、羊を育てています。その羊から取れた毛をウールとして製品化を様々しています。
ウールを洗うところから、紡いで糸にするまでを数人で作業をし、町の中の手先が器用な編み手や、藍染めの染め手、細かい作業が得意な元パティシエが可愛い小物を創り出しています。
今回は、製品化されるウールができるまでの工程をご紹介したいと思います。きっと、これを読んだ後には、買い物をする時に丁寧な手仕事をしている作り手の姿が頭に浮かぶでしょう。
ウールができるまでの手仕事
毛を羊から刈り取ります
羊を傷つけないように、素早く刈り取るのも職人技。生きている動物相手なので、機械で自動的に刈り取ることができないので、手仕事が欠かせません。
毛刈りは、冬と夏の気候に耐えうるように、その時期を避けて春(3月下旬〜5月中旬)に行われることが多いです。
羊毛を洗う
羊が草の上に寝っ転がったり、生活していた中でついた自然の汚れを取っていきます。これも洗濯機に入れるのではなく、手洗いで。
原毛(羊の毛)の100倍の水を使い、人肌温度に保ちながら洗っていきます・
これを2〜3回繰り返します。
羊毛をお湯に長くつけ込むことで、泥がしっかり落ち、皆さんが目にするウールの色に近くなっていきます。
洗う中でも、羊毛が固まってフェルト化しないようにという、丁寧な手洗いを心がけをしながら。
最後は、しっかりと乾燥をさせます。風通しの良い場所で自然乾燥。これも天気に左右されたりするので、時間は読めません。
この「洗う」「乾燥させる」という工程だけでも、通常の洗濯物とは違い、何倍もの人の手と時間が、かかっているのがわかりますね。
解毛(毛をほぐす)
乾いた羊毛を、手作業でほぐしていきます。それと同時に、洗っただけでは、取り切れていないゴミを取っていきます。
この作業も、ひとつひとつ丁寧に。羊毛が、ふわってなるのと同時にゴミも取れるので、変化がわかりやすいです。
カーディング
カーディングは、毛をほぐした後、カギ形の針がついたカーダーで毛のゴミを取りながら、繊維の方向を揃えつつ、ほぐしていきます。
カーディングという言葉に馴染みのない人は、犬のブラッシングを思い浮かべてみるとわかりやすいかもしれません。犬のブラッシングも毛並みを揃えながら、余分なものを除去してくれますよね。
そんなイメージをして頂けると、想像しやすいですかね。
ここまで、一通りやると、フワッフワの温かさを感じるウールの状態になります。
フェルトなどは、この状態から作られていきます。
糸紡ぎ
「紡ぐ」という言葉は、色んな場所で最近見かけますが、それがどんなものか?考えたことありますか。
こちらは、言葉を紡ぐという意味もありますが、自然の原料から繊維を引き出し、糸にする意味があります。
馴染みのある洋服や帽子など、そういったものに使うためには、この工程が必要不可欠です。
そして、これも昔ながらの機械を使いながら、手作業で紡いでいきます。
初心者が紡ぐ体験をすると大体均等に糸を出すことが出来ず、凸凹な糸が出来上がります。
その様を見ると、これも本当に職人技の手仕事だなと感じます。
ここからは、糸を集めて毛糸にして製品化したり、使い方は様々。
私たちの冬の味方、ウールができるまでを今回は、お届けしました。
ウールには、たくさんの時間と手仕事が関わっています。
冬支度を始めるとき、暖かい小物や洋服を求めてお買い物する時、素材の背景をそっと思い出してくれたら嬉しいです。
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