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「やらなきゃ」を手放して見つけた、私らしい働き方

「やらなきゃ」の日々

「もっと成長しなきゃ」「これもやらなきゃ」。数年前の私は、そんな思いで自分を追い込み続けていました。不慣れなことにも一生懸命取り組み、少しでも前に進もうと必死でした。でも気づけば、「楽しい」と思える時間が少なくなり、次第に自分に自信が持てなくなっていました。

特にマネージャーとして働いていた頃は、「責任者としてちゃんとしなきゃ」というプレッシャーが常にありました。他にできる人がいないからやってほしいという期待に応えようと頑張っていたのです。でも、心の中では「私は違うことをやりたい」という思いが膨らみ続けていました。それでも「自分が抜けたら誰がマネージャーをやるの?」「数字を落とすわけにはいかない」という義務感が勝り、気づけば2年が過ぎていました。

私はチームの成長を優先するべきだと思いながらも、心の奥では「自分がやりたい課題に向き合いたい」と強く感じていました。その矛盾が次第に自己嫌悪を生み、「私は人の成長よりも自分のやりがいを優先してしまう嫌なやつなんだ」と思い込むようになっていました。

幼少期の原体験を思い出す

そんな日々の中でふと思い出したのが、幼少期のある出来事でした。ピアノを使ったインスタレーションのような仕掛けを見つけ、直感で「この曲がぴったりだ」と思った曲を弾き始めました。夢中で演奏していたのは「人形の夢と目覚め」。静かな始まり、軽やかなダンスのような中盤、眠るように終わる曲調がその場の雰囲気に合っていると思ったのです。

私は没頭し、曲と一体化しているような感覚でピアノに向き合っていました。演奏後、振り返ると後ろにはたくさんの人が集まっていて、拍手が鳴り止みませんでした。そのとき、「自分が楽しいと思うことに没頭することで、周りの人も喜んでくれる」という感覚を覚えたのです。

しかし、大人になるにつれ、「やりたい」ではなく「やらなきゃ」が日常の中心となり、その感覚を忘れてしまっていたように思います。

変化の始まり:ハンドパンとの出会い

そんな日々が大きく変わり始めたのは、今年の3月でした。ようやく希望していた新組織への異動が叶い、役割がマネージャーからスペシャリストに変わりました。自分の中で無理をしてガチガチになっていた心が解放された感覚があり、肩の力が少し抜けました。その頃、自分の「楽しい」を取り戻したいと思い、ふとYouTubeで楽器の動画を探してみました。そして偶然見つけたのが、ハンドパンという楽器の演奏動画でした。

その音色を聴いた瞬間、幼少期のピアノに没頭していた記憶がよみがえりました。ハンドパンは、一人でベース、リズム、メロディを奏でられる不思議な楽器です。その音楽はどこか「一人なのにみんなで演奏している」ような広がりを感じさせ、演奏者の手の動きやリズムに、まるで生き物が音を紡いでいるような生命力を感じました。

「これを自分も演奏してみたい!」という気持ちは、幼少期にピアノに向き合ったときの感覚と似ていました。曲に没頭し、音楽を通して自分の気持ちを表現する楽しさ。その直感が心の奥で響き、気づけば体験レッスンを申し込んでいました。

初めてハンドパンを触れたときの感覚は、今でも忘れられません。手で叩くことで鳴る音はシンプルだけど奥深く、音が体に響く感覚がありました。音を出すのは思ったよりも難しく、肩に力が入るとうまく響きません。でも、幼少期のように「自分が楽しいと思うことに没頭できる感覚」を久しぶりに感じたのです。

ハンドパンを通じて得た気づき

初めてハンドパンに触れたとき、音を出すのは想像以上に難しく、肩に力が入るとうまく響きませんでした。でも、不思議とその瞬間に焦りやプレッシャーはなく、「もう一度やってみよう」と自然に思えたのです。演奏中は周りの音が気にならなくなり、心が穏やかでリラックスする心地よい状態を感じました。

この感覚は、仕事にも影響を与えました。リラックスして力を抜いているときほど、良いアイデアが生まれ、周囲との協力がスムーズに進むことを実感しました。

やりたいを選んだ結果、生まれた変化

「やらなきゃ」を手放し、「やりたい」に従うようになってから、不思議と周囲の反応が変わりました。「前よりも楽しそうに仕事をしているね」と言われることが増え、私の提案や行動が成果につながることで、想像以上の評価をいただけるようになりました。そこからさらに話が広がり、他のプロジェクトからも依頼を受ける機会が増えています。

もちろん、難題や悩むことは今でもあります。それでも、力を抜いていることで物事がスムーズに進む感覚があり、楽しみながら挑戦できています。例えば、最近取り組んだワークショップの企画と実施。組織の中で多様な立場の人たちと協力しながら、自分のアイデアを形にすることができました。参加者から前向きな評価をいただけたのは、まさに「やりたい」が形になった瞬間でした。自分のペースを大切にしながら、興味のあることに挑戦していく。そんな働き方が、私にとってのサステナブルな成長につながっているように感じます。

「やりたい」を選ぶ実践ヒント

「やらなきゃ」を手放すために、自分に問いかけてみてください。「私は我慢しすぎてないだろうか?」と。そして、少しでも「やりたい」「面白そう」「なんとなく惹かれる」と感じることを選んでみるのです。それが人から「何がおもしろいの?」と思われるようなものであっても、そこにこそ自分の本心が詰まっているのだと思います。

失敗を恐れず、気軽に試してみること。そして、自分の心が動いた瞬間を大切にすること。それが、「やらなきゃ」を手放し、自分らしく成長していくための第一歩です。


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