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違いのわからない女

今日はお仕事を休ませてもらい、家でごろんごろんしている。

ハナも詰まっているし、そのせいで頭もいたいし。だけど小腹は減るし。

動きたくないので、息子をよびつけ

「珈琲いれてきて。インスタントじゃないやつよ」とお願いする。


この息子、ただでは絶対働かない男である。

マグカップとともに10円渡す。ニヤリと満足そうに財布にいれる息子。

10円でも、ただじゃなきゃいいらしい。不思議。

一口飲んで、味がちょっとちがう。二口。香りが薄い。

「あれ、ちゃんとドリップしていれてくれた?ぜんぜん、味がしないよ」

クレームをいれる。コイツ、楽してインスタントコーヒーを淹れたな。

嗄れた声でまくしたてる私に、

「ちゃんとドリップしたよ。母ちゃんの鼻がつまってるからやろ」

とひとこと。

そうでした。私のハナはいま使いものにならないんでした。

違いがわからない女は私でした。

息子よごめん。



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