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体型はいかんともしがたし
私は、幼少の頃からがっちりした体型だった。身長順に並ぶと、だいたい後ろから三番目くらい。
学生時代も、ダイエットは人並みにしたけれど華奢で折れそうな手足、というのには程遠かった。
現在ももちろん少しはあるだろうが、
「女子はスリムであるのが良し」という考え方が強かった時代。
ユニクロやGAPだって、まだなかった。
ハイブランドのLサイズ展開も当時は少なかったと思う。
友人と服を買いにいっても、SサイズとMサイズしかない。選ぶ楽しさもない。
友人が嬉々として服選びをする横で、
まるで奥さんの買い物に付き合う、日曜日のお父さんのように手持ちぶさたな時間を味わっていた。
私の一族の女性たちは、
みんな胸が大きくてがっちりしたボリュームのある体型だ。
ぽちゃぽちゃした太りかた、というよりは外国人のそれに近いかもしれない。
結婚式をあげたときも、嫌な思いをした。
主人の一族はみんな身長が低く小柄で、うちのほうは父も母も親戚も、肩幅が広くがっちりタイプ。
金屏風の前で主人側の親戚の男性が酔っぱらって、「お前の嫁さんは体格がいいなあ!」と言ってウエディングドレスから出た腕をつかまれたのだ。
頭に来て、コイツ殴ってやろうかと思ったものである。
当時23歳。
一生で一度の人生の主役を張れる日だったのに、そのおじさんのお陰で嫌な思い出になってしまった。
もう少し、この腕が細かったら。足がスラリとしていたら。
と何度も自分の体型を呪ったものである。
そういう私だが、今はどうかといえばあまり気にしていない。
なぜかというと、この体型で得することも多くあるからだ。
デパ地下で食品の売り子をしていたときは、私がタイムセールで声を張り上げると本当によく売れたので、店長に感謝された。
店長いわく、私は「食べ物が美味しく見える人」だったらしい。
今の仕事になってからは、警戒心をあまり人に抱かせないのか、わりとお客様が心を開いてくれる。
野外イベントのときなどは
「ピリカさんは真ん前でお客さん呼び込んで!」
など頼りにされることも多くある。
容姿は変えられないけれど、角度を変えて見てみると違う価値観に気づくものだ。
ただ、自分が介護が必要になったときに人に迷惑をかけないよう、
足腰を鍛えて、すこし体重は減らさないとなあ、とは思う。
よし。20年かけて痩せてやる。
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