ピリカ目線~イライラをぶつけるのに適当な人なんて、この世にいないんだからな。
最近ずっと、しんどい案件が続いていた。
仕事柄、重要事項の言った言わない、聞いた聞いてないはよくあることはわかっている。
だが、都合が悪くなったときだけ、都合が悪いところだけしれっと忘れて、(もしくは忘れたことにして)一方的に感情をぶつけられるのはこちらも割に合わない。
お客さまは神様ではないし、
担当者だって機械じゃない。
切れ味の鋭い言葉を投げつけられれば、当然傷つくし、流血する。後遺症だって残る。
もちろん仕事だから、できるだけ感情は出さないようにしているが、それもまあ、難しいときもあるのである。
人間だもの。
コミュニケーションのいろはや、クレーム対応、個性学まで、わりと勉強もしてきた。その人の考え方を学び、自分を置き換えて考えることも、できるようになってきた。
ずいぶんと柔軟になってきたとは思うが、でもやはりしんどい。
その中の一件は上司が入るところとなり、まあまあの大事になった。
下手すりゃ私に本社の調査が入るかも、とまで言われた。
12年、一生懸命勤めてきた。
私のポリシーは、まっすぐに、正々堂々。
それに反することは、断じてしたことない。
リスキーな美味しい話にも近づいてもいない。
ただ愚直に、小さい石を積み上げてきた。
だが、そんな話、調査官は信じない。
疑わしきは皆、そう言うからだ。
金融系の「調査」はかなりエグい。
金に困ってるんじゃないか。
どういうプロセスを経て契約してるのか。
よからぬ話法をしてるんじゃないか。
余罪は他にないのか。
何かをあぶり出そうと、はなから疑いをもった目で探られるのは、やはり腹が立つ。
巷では池井戸潤さんの作品が有名だが、あそこまではないものの、やや近いところはある。
映画「シャイロックの子どもたち」の上戸彩さんが会議室で上司に囲まれ詰問されるシーンは、わりと現実に近いかもしれない。
私は仕事の記録をちゃんと残しているので、突っ込まれてもやましいところはない。
ないのだが。
ないんだけどさ。
それでも、こんなことがあると自分の存在意義がわからなくなる。
どこを見て仕事をすればいいのか、迷う。
こんなことでクヨクヨしてたら身がもたないよ、ピリカさんは真面目すぎるんだよ。
と上司は笑ったけど、
私は笑えなかった。
お客さまは、何か不満があってウサを晴らしたかったのかもしれないし、こんなこと大したことじゃないと思ってるのかもしれない。
大したことなんだ、私にとっては。
イライラをぶつけても許される人なんて、この世にいないんだ。
くやしい夜が、今日も更けていく。
眉間のシワが、深く刻まれる前に、忘れたいものである。
ピリカグランプリの賞金に充てさせていただきます。 お気持ち、ありがとうございます!