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「上手にできたね」禁止令

図書館に並んでいた育児書に、つい手を伸ばした。買うほどではないが、時々、なんとなく概要をおさえておきたい衝動にかられる。時間もないのでななめ読みをしていると、ひとつ良いなと思うことが書いてあった。

子どもが楽しそうに歌を歌った時に「○○ちゃん、上手に歌えたね〜」と言わない

というもの。

本の中では保育士が同僚の保育士に向かって指摘する、という場面だった。本人はただ楽しくて歌を気持ちよく歌っただけなのに、上手に歌ったという「評価」をされることで、次からは「上手に歌わなければ褒めてもらえない」という余分な意識を芽生えさせるからだそうだ。言うならば「気持ちよさそうだね」とか「○○ちゃんはお歌が好きなんだね」などといった大人が感じたことを感想として伝えることで、評価とは違った満足感を与えられるそうだ。

これは、結構自分も無意識で口にしているのでハッとさせられる。手真似ができたら「上手上手!」、立てたら「すごいね」と、気づくと評価をしている自分がいる。何気ないことばかけで、子どもは多くを感じてしまうのか。気をつけなければと思う。

関連して、ひとつ思い出したことがある。
絵本の読み聞かせの勉強会に参加した時に、心得の一つとして「子どもたちに読み聞かせをした後に、感想を聞かない」というものがあった。なぜだかわからず、理由を質問したところ、感想を聞くと次から子ども達は「この後には感想を言わなくちゃいけない」と思いながら読み聞かせを聞くようになってしまうからだそうだ。お話を聞いて、子ども達はただ自由に感じたり感じなかったりすればいい。その時何かを感じる子もいれば、もっとずっと何年もしてからふと思い出して何かを感じる子もいる。だから、そこに余計な意味付けを与えてはいけない、とのこと。それを聞いて、とても感心した。感想を聞くことは、大人の自己満足に過ぎない。それを満たすために、子どもの感じる余白を侵してはいけないのだ。

思っているよりも、ずっとずっと子どもというものは色々なものを感じて、察しているようだ。今まで全く興味がなかった子どもの頭の中に、今とても興味が湧いている。