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目の前のその先を慈しむ祖母

あなたはお義母さんによく似てるよね」と未だに、時折母に言われることがある。

父方の祖母はすごくしっかりした人で、昭和の時代に未経験の保険の外交員をして働いて、男兄弟3人を私大へ入れて卒業させ、その傍ら家も建てたという逸話がある人だ。

もちろん私の母も祖母のことを尊敬していて、似てるよねというのは純度100%の褒め言葉である。

母曰く、私と祖母が似ているのは自分を律する心と他人に与える凛とした姿勢らしい。

責任感を持って最後までやり抜こうとする考え方はお義母さんと同じ
お義母さんの芯が通ったやり抜く力をあなたも持っていると思う

母は私を励ますとき、よく祖母の話をしてくれる。よく覚えているなあと思いつつ、母にとっても祖母は偉大な人だったんだなと感じることができて嬉しい。

祖母は私が幼い頃に施設に入って、私の記憶では寝たきりの姿が多いけど、亡くなって7回忌の今年の法事でも親戚全員にすごい人だったよねと言われるような人柄だった。

💫

祖父が出張が多い人だったということもあると思うが、祖母は本当になんでもひとりで決めてきたらしい。その最たる例が、父の生家である実家の内装。大きな玄関と靴箱、天井が高いリビング、アイランドキッチン。

3兄弟が大きくなっても生活しやすいように、いつでも安心して帰ってこれるようにと間取りを考えて、いちからオーダーで建てたそうだ。最先端すぎないか

その家も数年前に老朽化で取り壊したのだが、実は建てていた土地はお寺の借地で、取り壊すときに兄弟間で煩わしくならないように、と生前相談して決めていたらしい。そしてそれを後から知る家族たち。いや、完璧主義すぎんか…。

法事で改めて一連の話を聞いたとき、後世に宿題を残さないようにという祖母の深い愛を感じた。

🌸

私も自分のことは相談しない傾向がある(最近は学習してちょっと相談できるようになった)。

両親には結論の報告をすることが多いが、自分で考えたなりの合理性が取れていることがほぼなので、「あなたは祖母譲りの肝を持っているし大丈夫ね」という遺伝による信頼与信枠を獲得できることがこれまで多かった。ありがとうおばあちゃん。

私の目線で祖母のことを思い浮かべると、周囲は人を寄せ付けない雰囲気を感じたと思うけど、きっと誰よりも家族思いで、ひたむきで、人を守るためなら我慢もするかっこいい女性だったのではないかと思う

写真の中でも笑顔でいることが少ないおばあちゃんだったけど、目の前にいる人の、その先まで思いを巡らせることができる人だったのだと思う

私もいい大人の歳になった。自分のポリシーが曲げられなくて、悲しい思いをたくさんしてきた。違うことで弾き出される経験もした。

そんな時に祖母を思い出す。目の前のその先を慈しんで取った行いはきっと間違いではないし、これでよかったんだよね。と心の中の祖母に問いかける。


きっと笑わずとも、優しい目で微笑んでくれるから。

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