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【フランス留学】一時帰国の効能

(フランスの大学に留学中の30代が書いています)

ある程度の期間住むとだいぶ慣れるとはいえ、フランス語で全てが流れていく日常は気楽にいられない時のほうが多い。聞き取れるか、理解してもらえるか、日常の雑事から授業、バイトまで全てのシーンでどこか気を張った状態で2年間過ごしたことで疲れが澱のように溜まっていたことに一時帰国して気づいた。

お味噌汁やおにぎり、蕎麦の美味しさに感動したり、ゆっくり湯船に浸かったり、10年来の付き合いの人たちに会ったり。お互いをよく知る人と不自由ない言語で話す時間を2年ぶりに持つと、これが当たり前だった日常が当たり前ではないフランスでよく2年も頑張れたなと思う。久々に狭くないキッチンで慣れた具材で料理したり畳に寝っ転がったり、そうした日本で築いた習慣をなぞることで溜まった澱は消えていった。

2年ぶりの蕎麦屋(フランスはラーメン屋ばかりなんです)

これで最後の学年、学士3年生を1年生の始まりと同じような気持ちでスタートできそう。休息は大事だ。たとえ致命的な疲れを感じなくとも定期的に気を抜く、休む期間を作る必要性を実感した。大学の勉強はハードなので覚悟して9月を迎えなければならない。その前に思いっきり休む。

留学の2年間でわかったことは、私はフランス語 で/を 学ぶことが好きという以上に学問の世界に身を置くことに幸せを感じるということだ。先人たちが残した研究成果を読んで、新たな問いを立てて、調査して答える。それがレポートでもスライド発表でもどんな形でも私は、問いを立てて考え、論理的に答えを出すことが好きだ。この世界に明日も明後日もその先もずっといたい。

それ以外に留学のおかげで気づけたことは外国語に対する自分の限界である。どんなに頑張ってもネイティブの友達が20年の喜怒哀楽の日々で培ったフランス語に私が追いつく日はこないだろう。日々限界を感じながら生きるのはそれなりにきつい。でも大学の勉強は好き。これらを総合して卒業後にどんな道を選ぶか、選べるか。いずれにせよ語学力は必要で、とりわけ足りないのはフランス語ではなく英語力なので夏休みの今は英語に力を入れている。

コンフォートゾーンから思いっきり抜け出した環境で外国語を2年間勉強すると想像以上に力がつく。この成長は日本で働きながらでは10年かかっても実感できなかっただろうから留学してよかった。日本に戻ると会社員時代の生活を否応なく思い出し、今その世界に自分がいない、住所はフランスにあることが不思議に思えてくる。もう二度と同じことはできない、やれないこの社会人留学のその先のキャリアが今と地続きになるように、人生で二度目の大学最終学年を後悔のないように過ごしたい。母国で休むことで改めてこう思えたことは一時帰国の効能である。



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