禅の道(七)貪瞋痴を手放す心トレ
「心トレ」は、心を鍛える筋トレのようなもので、柔軟で朗らかな心を育てるためのトレーニングです。これは、日常のちょっとした場面で貪(むさぼり)、瞋(いかり)、痴(おろかさ)といった心の迷いを少しずつ手放していく過程を意味します。例えば、誰かに親切にされて感謝を感じたり、嫌なことがあっても「まあ、仕方ない」と軽く受け流したり。そんな小さな行動が「心トレ」です。
この「心トレ」の醍醐味は、ストイックに構えず、肩の力を抜いて行うこと。心を鍛えることは一見難しそうに思えるかもしれませんが、実はもっと軽やかで楽しいものなのです。まさに、笑顔を忘れず、虚心坦懐(空っぽで柔らかな心)でいることが禅の「道」。そんな気楽さの中で心トレを続けることで、日々の穏やかさや朗らかさが深まっていきます。
秋の深まりとともに、水が冷たく感じられるようになりました。わが庵の池へ向かう水も、蛇口をひねったときの水も外気の影響を受けているのでしょう。ここは琵琶湖の北西。山々に蓄えられた清水が、地表を流れ地下に浸透して今ここに湧き出て池に流れ込みます。
紅葉が広がりをみせています。村中の道沿いの緑が少しずつ彩りを加え、じょじょに落ちてゆき、いずれは針葉樹と落葉樹のコントラストに変わっていきます。まさに諸行無常の世界が現前しております。すべては流れていく。なにも悲しむことも嘆くこともない、当り前だと感じられます。
「心トレ」を続けていると許せてしまうものです。それは、石につまずいてこけてしまったり、枝に頭をぶつけて「あ、イタっ」といった瞬間の出来事に過ぎません。おまじないのように「心トレ、心トレ」と自分に言い聞かせるようにしていると。痛い痛いのはすぐに飛んでいきます笑
誰かや社会のせいにしてばかりいると、むかしは「卑怯者」「恩知らず」などと言われたものです。ヒトのせいにするのは簡単ですが、その何万倍もの「おかげ様」を戴いているわけです。いま生きていることが有難し。感謝に対しては貢献がものをいいます。「役立ちたい」であります。
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念水庵
我昔所造諸悪業
(がしゃくしょぞうしょあくごう)
皆由無始貪瞋痴
(かいゆうむしとんじんち)
従身口意之所生
(じゅうしんくいししょしょう)
一切我今皆懺悔
(いっさいがこんかいさんげ)
貪瞋痴は、三毒といわれる猛毒です。
飲んでしまったらすぐに吐き出してください。
水をたっぷり飲んで。。。