禅の道(五)作務の楽しみ
日常のあらゆる作業を「作務」と呼んでいます。そうですね、あの作務衣の作務です。わたし普段はジーパンなどの作業着ですが、お寺では極力作務衣を着るようにしています。お坊さんらしくという意味ではなく、修行してる感が半端ないからです。別に作業と作務を区別する気持ちはありません。とくに掃除のときはちょうどいい。
朝、参禅堂を掃除します。浄巾(雑巾のこと)を二枚持って、まずは手の届く高いところから、やがて徐々に床の方へと進みます。両手でやるところがコツでして、床は腰をおろしながら右へ左へ幅広く磨きます。拭くというより磨くに近いですね。力をこめて。
そのあと座敷ぼうきというのでしょうか、あの昔からあるやつで、ほこりを立てないように掃き出します。目についた大きめのゴミを取り除き、玄関の土間に落とします。土間は土間用の棕櫚ぼうきで掃き出します。これも埃を立てないようゆっくりとしかも確実に掃き出します。
このとき水を使いません。水ぶきはシミになるからでしょうか。よくわかりませんが、なにしろ乾拭きにしています。教えられたとおりに、ただ黙々とやります。所要時間は30分間。そのあと坐禅に入ります。窓からの風が冷たく感じられます。そろそろ夜明けです。午前6時。
こうして始まる作務の日々。昨日は友人と庫裡北側の鉄板を張る準備を行いました。軽トラで材木と鉄板を買い、話しながら笑いながら、休憩時間もまた楽しいものです。ひとつひとつ念水庵の整備が進んでいきます。雪が積もるまでにまずは外回りを片付けます。雪が積もればユンボでの除雪が楽しみです。
私の専門領域は直歳(しっすい)と呼ばれています。
先輩と友人と私の三人だけの「直歳寮」です。
曹洞宗の寺院における「直歳」は、伽藍(がらん)の修理や山林・田畑などの管理、作務を管掌する役職で、六知事の一つです。
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念水庵
掃除のときには電気をつけて窓を全開にしてやります。
今朝は冷え冷えしていました。
これから益々寒くなります。
ミトコンドリアが喜びそうです(笑)
noterそうたいさんに書いて戴いた「念水庵の表看板」は、行書で優しいお人柄がにじみ出ています。