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禅の道(51)お線香を焚く
線香の十徳と坐禅の一炷
禅の生活において、「線香」は特別な存在です。ただ単に香りを楽しむためのものではなく、時間を計るための実用的な道具であり、精神を調えるための重要な役割を果たしています。この記事では、線香が持つ「十徳(じっとく)」や、坐禅における時間の単位としての「一炷(いっちゅう)」について掘り下げてみます。
線香の十徳
古来より線香には「十の徳」と呼ばれる効能があるとされています。これらは、香りによる心身への影響だけでなく、空間を清め、精神を高める役割を担っています。
感覚を清らかにする
香りは嗅覚を通じて心に直接働きかけ、混濁した感覚を澄み渡らせます。心を静める
線香の穏やかな煙と香りは、雑念を取り払い、心を落ち着ける効果があります。身を浄化する
香りが体に染み渡り、不浄なものを遠ざけると信じられています。空間を清める
線香を焚くことで、場所を神聖な空間へと変える力があるとされます。邪気を払う
悪い気や不運を追い払う象徴的な役割も果たします。疲労を和らげる
線香の香りは、疲れた身体と心を癒やす効果があります。眠気を覚ます
眠気を取り除き、集中力を高める助けとなります。精神を高める
香りによって意識が研ぎ澄まされ、精神の向上が促されます。社交を豊かにする
線香は人々を結びつけ、交流を深める場を提供します。持続性
線香の香りは長く残り、心に余韻を与えます。
これらの十徳を念頭に置くと、線香を焚く行為そのものが単なる習慣ではなく、深い意味を持つ儀式であることが分かります。
坐禅と一炷の時間
禅の修行では、線香は時間を計るための道具としても用いられます。一炷(いっちゅう)は、一本の線香が燃え尽きるまでの時間を指し、通常30分から1時間程度です。この一炷の間、修行者は心を静め、無念無想の境地を目指します。
線香の燃え方は一定であり、その穏やかな燃焼は修行者にリズムを与えます。一炷の時間を全身全霊で坐禅に取り組むことは、心の強さを養い、日常の煩わしさから解放される瞬間となるのです。
線香の選び方
坐禅用の線香を選ぶ際には、香りが控えめで自然なものを選ぶのがおすすめです。過度に人工的な香りや強すぎる香りは、逆に集中を妨げる可能性があります。竹芯のない純粋な香木から作られたものは、煙の量が少なく、坐禅には適しています。
また、線香立てや香炉も禅の精神を表現するシンプルなデザインのものを選ぶと良いでしょう。これらの道具が調和し、静かな坐禅の時間をより豊かにします。
線香の焚き方と心得
線香を焚く際には、火を灯した後にそっと手うちわや指先で下からはさんで素早く消し、煙が立ち上る様子を観察します。この一連の動作もまた、心を調える一環です。線香の煙は天に向かってまっすぐに昇り、心の乱れを調える手助けをしてくれます。
線香を通じて禅の道を深める
線香は、その香りや十徳だけでなく、時間を計るためのシンプルな道具として、禅の修行に欠かせない存在です。一炷の時間をどう過ごすかは、自分自身との対話そのもの。一炷を繰り返す中で、少しずつ心の雑音が消え、真の静けさに至る道が開けてまいります。
禅の道において、線香の役割を知り、それを生活に取り入れることで、日常生活がより豊かで深いものになるでしょう。線香の十徳を味わい、一炷の時間を通じて、自分自身を見つめ直してみませんか?
むかしから「香を焚く」と申します。炭(香炭)のうえに抹香をくべる所作は、一つまみして首のまえで念じてからそっと炭のうえに置き、さらにもう一つまみしてそのまま炭の上に置きます。宗派によって所作は違いますが、念ずる気持ちに変わりはありません。
線香に火をつけ香炉に立てる場合も念じてから真っすぐに立てます。このとき人差し指と中指ではさんで立てるようにすると真っ直ぐ立ちます。親指と人差し指ではさんで立てると、ほとんど真っすぐ立ちません。長い線香の場合は下の方をさらに親指と薬指でつまんで立てます。
香炉の灰均しも僧堂での修行時代にはたくさん行いました。表面を水平に均すには、灰均し用のこてを使います。香炉のまわりに鏝を軽く押し当て回しながら均すのですが、これを「香炉を切る」といっておりました。均し終えてから静かにまわりの灰を拭き取ります。
古参の先輩は、灰均しにおいても名人のようでした。速くきれいに仕上げます。新到和尚(新参の修行僧)の中にも師寮寺(師匠のお寺)で作務をされていた方は凄腕でした。私は「ただ均せばいい」ぐらいに構えていましたから、はなはだ残念な様子でした笑。それはとても貴重な体験でした。
なにごとも凡事徹底ですね。
ご覧いただき有難うございます。
念水庵
にゃんすいあん日記21日目
ついに部屋の扉に設置したネットをあのビリーがよじ登りました。
ということは、当然にここも登ることができます。
これはいかんということで、玄関に風除室を設けることにしました。
ネット越しにふたりの添い寝シーンを撮りました。
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