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禅の道(77)教化と安穏

教化の使命と安穏の喜び

仏教の道を歩む私たちにとって、衆生を教化きょうけすることはおこがましいようにも思えます。しかし、それは私たち仏教徒の重要な使命のひとつでもあります。なぜなら、私自身がこれまでに多くの先人の教えや書籍によって心を打たれ、深い感動を得たからです。そして、その感動が私をこの道へと導き、日々の生活の中で『安穏あんのんである喜び』を感じることにつながっています。

安らかで穏やかに過ごせる日々を送ること。それは、すべての人にとって最も幸福な状態ではないでしょうか。しかし現実の世界では、戦争や紛争、災害、貧困、病気といった多くの苦しみがあります。この日本においても、多くの方々が様々な悩みや苦しみに直面しています。その現実を目の当たりにするとき、私たちは「自分に何ができるのだろう」と考えざるを得ません。

教化とは何か

教化とは、単に教えを説くだけのことではありません。それは、私たち自身が教えを実行し、その実践を通じて他の人々に希望や勇気を与える行為です。苦境に立たされている方々に寄り添い、どのような状況であっても心を倒さず、明るく立ち上がる力を伝えること。それが教化の本質ではないでしょうか。

仏教は宗教の枠を超えて、人々の心に安らぎをもたらす力を持っています。たとえ信仰の違いや価値観の違いがあったとしても、私たちができることは必ずあります。その一つが、安穏である喜びを共有することです。私たち自身が日々の生活でこの喜びを感じ、実践することで、その穏やかさが自然と他の人々へ広がっていくのではないでしょうか。

私たちができること

私たちは、他者に直接的な救いを与えることはできないかもしれません。しかし、相手の苦しみに耳を傾け、一緒に考え、寄り添うことはできます。その中で、相手が少しでも心を軽くし、自らの力で立ち上がることができるようにサポートすることが私たちの役割です。

世界がどんなに困難な状況にあっても、私たちは希望を持ち続けることができます。その希望は、自分自身が安穏であること、そしてその安らぎを周囲と分かち合うことから始まります。

これからも、私たちは教えを実行しながら他者の力となれるよう努めていきたいと思います。それが私たちの使命であり、道を歩む者としての責任だと信じています。

仏像のように黙って聞く。


ご覧いただき有難うございます。
念水庵 正道


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