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老子43:無為自然の教えの核心
老子 第四十三章 原文
天下之至柔,馳騁天下之至堅。 無有入無間,吾是以知無為之有益。 不言之教,無為之益,天下希及之。
現代語訳
世界で最も柔らかいものが、最も硬いものを突き抜ける。 無いものが無間の隙間に入り込む。だから私は、無為が有益であることを知る。 言葉を使わない教え、何もしないことの効用は、世の中でほとんど知られていない。
解説
この章は、老子が説く「無為自然」という思想の核心を表しています。まず、最も柔らかいものが最も硬いものに打ち勝つという考え方は、物理的な現象を通して老子が示す自然の法則です。例えば、水は柔らかく形を持たず、硬い岩を長い時間をかけて削り取ることができます。この自然の力は、強さや硬さに頼らず、柔軟で自然な状態が最終的に勝利することを示しています。
「無有入無間」という表現は、無(何もないもの)が何もない隙間に入り込むという逆説的な表現です。これは、形のないものや存在しないものが、形あるものや存在するものよりも影響力を持ち得ることを示しています。具体的には、存在しないように見えるもの、たとえば無意識の影響や空気のような目に見えないものが、時には大きな力を発揮することを意味しています。
「無為の有益」とは、老子が説く「無為自然」の考え方です。無為とは、何もせずに自然の流れに任せることを意味します。しかし、これは怠惰や無関心を意味するのではなく、むしろ意図的に自然の調和を乱さず、そのままにしておくことで、最大の効果を得ることを意味しています。たとえば、無理に物事を変えようとするよりも、状況が自然に変化するのを見守ることで、より良い結果が得られる場合があります。
最後に、「不言の教」についてですが、これは言葉を超えた教えの価値を強調しています。言葉や説明で伝えられる知識よりも、実際の行動や自然な在り方を通して伝わる教えの方が、より深く影響を与えることができるという考え方です。
私たちの日常生活においても、この章の教えを活かすことができます。たとえば、無理に自分や他人を変えようとするのではなく、自然の流れに身を任せ、柔軟に対応することで、より良い結果を得られることがあるでしょう。また、言葉に頼らず、行動や態度を通して伝えることの大切さも、この章から学べる重要な教えです。
いま雨が強く降っています。台風10号は本日の午前5時現在、四国の東側にあってまもなく熱帯低気圧になろうとしていますが、長時間降り続ける影響は広範囲に及びます。いわゆるツイン台風(熱帯低気圧)のような状態で、これからも頻繁に起きうる可能性が指摘されています。
ここ何日も台風の話題が続いており、この8月は猛暑と合わせ顕著な異常の始まりとして記録されていくことでしょう。むろん天変地異は今に始まったことではありません。ただ近年の自然現象は異常を強く感じざるを得ません。「過去最高」という記録が更新され続けているからです。
「自然」は言葉で言い表すことが最も難しいものの一つだと思います。自然とともに生きると申しましても、具体的にどうすればいいといわれれば答えようがありません。黙って過ごすほかにないのが実情です。自然をあれこれ評価してみたところで、それは自然のごく一部の面でしかないでしょう。
無為は「為すべきものが無い」という無力さをとことん知ることから始まります。人類の知恵などは自然の力に遠く及ばないわけですから、虫一匹創り出すことができない以上、虫一匹殺さないようにしようと覚悟します。不言実行。「黙って真実を実行する」ことから始めたいと思っております。
ご覧いただき有難うございます。
念水庵
雨の参禅堂(令和6年8月31日撮影)
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