植生の有無と温湿度の比較。
昨日の気温はもう真夏並みに感じました。いわゆる真夏日。少し早すぎると思いませんか?
今更ながら、ヒートアイランド現象の原因の一つともいえる地表の植生について、土木家としての一考察を披瀝したいと思います。
植生のある地表と植生のない地表の温度と湿度の変化について、以下の観点から比較を示します。
植生のある地表
温度変化
日中:植生があることで、植物の蒸散作用により地表面の温度が低く保たれます。植物の葉が太陽光を遮るため、直接地表に当たる日射量が減少し、地表面温度の上昇を抑えます。
夜間:植物が地表面の熱を保持するため、夜間の温度低下が緩やかです。
湿度変化
日中:植物の蒸散作用により周囲の湿度が高く保たれます。地表面の水分蒸発が減少し、湿度が比較的安定します。
夜間:植物の呼吸作用により湿度が高く保たれ、夜間の湿度変化が緩やかです。
植生のない地表
温度変化
日中:直射日光が直接地表に当たるため、地表面温度が急激に上昇します。温度変化が激しく、地表面が非常に高温になります。
夜間:地表面からの放射冷却により、夜間の温度が急激に低下します。
湿度変化
日中:地表面の水分が直接蒸発しやすいため、湿度が低くなりがちです。温度上昇に伴い湿度が大きく変動します。
夜間:地表面が乾燥しやすく、湿度が低く保たれます。
グラフ化
これらの観点をグラフで示します。
地表面の温度と湿度の変化
下図が、植生のある地表と植生のない地表の温度と湿度の変化を示すグラフです。
グラフ1: 地表面温度の変化
横軸: 時間(0時から24時)
縦軸: 地表面温度(℃)
緑のライン: 植生のある地表の温度
赤のライン: 植生のない地表の温度
グラフ2: 地表面湿度の変化
横軸: 時間(0時から24時)
縦軸: 地表面湿度(%)
緑のライン: 植生のある地表の湿度
赤のライン: 植生のない地表の湿度
地表面温度の変化
植生のある地表(緑色のライン)は、日中において温度が比較的安定し、夜間の温度低下も緩やかです。
植生のない地表(赤色のライン)は、日中に急激に温度が上昇し、夜間には急激に温度が低下します。
地表面湿度の変化
植生のある地表(緑色のライン)は、日中において湿度が高く保たれ、夜間の湿度変化も緩やかです。
植生のない地表(赤色のライン)は、日中に湿度が低くなり、夜間の湿度も低いままです。
このように、植生の有無が地表面の温度と湿度に大きく影響することが分かります。
温度と湿度の関係から爽快感や不快感といった感覚が生じます。蒸し暑いと感じたり、爽やかに感じたりするわけです。地表面近くと1~2m上でも大きく違います。熱中症や夏バテなど人間の体調に影響を与えます。それと同時に地球環境に大きな影響を及ぼしているわけです。
森林を伐採し、コンクリートやアスファルトで地表を覆えば、便利である反面にその代償は高くつきます。
農薬を用い、化学肥料を使えば、大量生産できる反面に健康を害することと同じ理屈です。
都会と田舎を行き来していますと、この植生の有無を実感します。もちろん都会にも少なからず緑はあります。しかしながら圧倒的な差があることも事実です。善悪ではなしに、実際問題としてとらえたときに、わたしはどこに住みたいかと考えた次第であります。
東京一極集中。この原因の多くが「便利さ」でありましょう。経済、交流、勉学、文化。平たく申せば、仕事も遊びも東京が一番便利で人気がありますから皆あつまるわけです。インターネットがあれば地方でも充分仕事できるし遊べると思っていましたが、どうやらそう簡単ではありません。
便利さを追求した結果、得るものと失われるものがあります。
もう一度いいます。良い悪いではありません。これは現実です。
ご覧頂き有難うございます。
念水庵
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