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禅の道(95)大相撲千秋楽を観て

昨日はテレビ桟敷で大相撲千秋楽を観戦し、大関・豊昇龍が2度目の優勝を手にする瞬間に立ち会うことができました。優勝争いは激しく、12勝3敗で並んだ王鵬、金峰山との巴戦になりましたが、豊昇龍はこれを制して優勝を決定。勝負がついた直後には、感極まったのか涙ぐんでいるようにも見えました。

一方、優勝力士インタビューでは表情が一転し、やわらかな笑顔で、はっきりとした口調で答えていたのが印象的でした。取り組み中の鋭い気迫とはまったく異なる姿を垣間見て、豊昇龍が異国の地で積み上げてきた努力を改めて感じ、深い敬意を抱きました。今後、横綱に昇進するかどうかはまだわかりませんが、先場所の口惜しさをバネに、積極的に前に出る相撲を貫いた姿勢は賞賛に値すると思います。

豊昇龍がインタビューで口にした「一日一番ずつ」という言葉が、胸に強く残ります。千秋楽では結びの一番からさらに巴戦まで含め、三番連続で勝ち切るという集中力を見せました。取り組みの厳しさとは対照的に、少年のような笑顔には「強いやさしさ」が感じられ、見終わったあともその姿が心に残っています。

努力して結果を出すことは口で言うほど簡単ではありません。豊昇龍の取り組みを目にし、その思いを想像するたびに、積み重ねてきた練習や精神的な鍛錬の大変さに思いを馳せるばかりです。そんな感動の余韻を胸に、今日は松任谷由実さんの「やさしさに包まれたなら」を聴きました。歌詞をなぞりながら、「すべてのことはメッセージ」という一節がひときわ胸に響きます。

私たちの目の前に起きることは、良いことも悪いことも含めて、きっと何かのメッセージをはらんでいるのでしょう。一日一番ずつ、地道に努力を積み重ねていく姿こそが、そのメッセージに応える姿勢なのかもしれません。豊昇龍の涙と笑顔が教えてくれた「強いやさしさ」は、私たちの日常にもそっと勇気を与えてくれます。

涙と笑顔にほっとする。


ご覧いただき有難うございます。
念水庵 正道


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