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【ぽこピー】VTuberピーナッツさんの作詞過程が楽しめる「即興作詞チャレンジ!」

 VTuberでありながら、ヒップホップ最大級のフェス「POP YOURS」に出演することになったピーナッツくん。
 それでも、相方のぽんぽこは自分をミュージシャンとして敬意を払ってくれないと、わざわざ他チャンネルの配信(#ぽこピー覗き見)でグチる始末。

 そんなピーナッツくんの音楽的人気を利用した企画が、今回の即興作詞チャレンジ。
 自動作曲サイト「ポンコツちゃん」が生み出す曲に歌詞をつけるという企画である。

【プロの技】相方がミュージシャンなので作詞してもらいます。【自動作曲ちゃん】

 いつもと違って、ぽんぽこは敬語でピーナッツ「さん」と語りかける。
 それに偉そうに答えるピーナッツくんは、あたかも活動初期の「イキリ豆」というあだ名を思い出させる。

↑ピーナッツ「さん」
↑ミュージシャン気取りのピーナッツさん

 この自動作曲サイトは「ポンコツちゃん」と名づけられているように作られるメロディラインは中途半端。
 普通の人ならば、より良いメロディが生まれるまでやり直すものだが、ピーナッツくんは果敢にチャレンジ。
 何度も「ここは編集でカットして」とぽんぽこに釘を刺すが、動画編集権のあるぽんぽこにとっては、ピーナッツくんのスゴさを伝えるよりも動画が面白くなるのが第一。
 おかげで、ピーナッツくんの作詞過程が楽しめる動画に仕上がっている。

↑ピーナッツさんの指示は編集担当のぽんぽこには届かなかった…

 だんだん「ポンコツちゃん」に慣れてきたピーナッツくんは、お題にオチをつける大喜利芸を披露。
 そのお題も「葛葉」や「ヨルシカ」といった、熱心なファンが激怒するかもしれないものだが、ピーナッツくんは難なく作詞してしまう。

 そして、6曲目の「ポイフル」では、CMソングになりそうな名作に仕上げてしまう(ブラッシュアップすれば、だが)
 以前に日清焼きそばUFOのCMを作る企画でピーナッツくんの出した「UFOギャングのテーマ」が話題になったが、キャッチーなワードセンスを作る才能はさすがの一言。
 ピーナッツくんの曲を愛聴する僕には、非常に楽しめた動画だった。

1.ピーナッツ「さん」と持ち上げるぽんぽことイキリ豆

 ぽこピーは普段、ピーナッツくんが敬語を使うが、今回はぽんぽこが敬語を使う立ち位置。
 ぽんぽこはピーナッツ「さん」と言って、相方を持ち上げようとする。
 しかし、ピーナッツくんには煽りにしか聞こえない。

 ピーナッツくんがラッパーとして成功するよりも、面白いぽこピー動画ができることが第一。
 そんなぽんぽこの思惑はバレバレだからだ。
 とはいえ、古今東西、兄は妹におだてられたら調子に乗ってしまうものである。
(ぽこピーはリアルでは年子の兄妹)

 また、この動画ではピーナッツくんはミュージシャンらしさを出すべく偉そうな態度をとっている。
 VTuber活動初期に名づけられた「イキリ豆」を連想させるが、当時は個人勢でありながら企業勢にマウントを取ろうとする姿が面白がられていた。

 今や、ピーナッツくんはラッパーとして日本最大級のフェス「POP YOURS」に出演する立場。
 それをぽんぽこが誇らしげに自慢したらどうであろう?
 ぽこピーファンからすれば、置いてけぼりにされた気分ではないか。

 だから、ぽんぽこが「いよっ! ミュージシャン!」と軽いノリで持ち上げるのも、それにブツブツ言いながらもまんざらではないピーナッツくんも、ぽこピーファンには楽しめるのだ。
 そして、ピーナッツくんは活動初期から「イキリ豆」と笑われながら、それを行動で見返した実績がある。
 今回も、自分の才能を知らしめるべく、即興作詞に必死でチャレンジしてくれるのだ。

2.VTuber界隈で認められるピーナッツくんのワードセンス

↑引用:司会者Vtuberが「敵わない」「憧れる」「尊敬できる」と思うVtuberは?

 さて、ラップうんぬんは抜きにして、ピーナッツくんのワードセンスのスゴさは同業者にも知られている。
 例えば、個人勢VTuberの天開司。
 犬山たまきchの配信「#司会者vtuber座談会」で「敵わないと思うVTuber」を問われた天開司は、真っ先にピーナッツくんの名前をあげている。

天開司「敵わない、でしょ? …ピーナッツくんかな」
犬山たまき「ピーナッツくんなんだw」
夢追翔「あーなるほど」
犬山たまき「それどんなところ?」
天開司「ピーナッツくん…すごいよ!?」
夢追翔「うんうん」
犬山たまき「おうおう」
天開司「なんかねー、もう俺の発想にないボケを出せるからピーナッツくんは」
犬山たまき「あーそういう面か」
天開司「ちょっとね…敵わないなぁと思う」
犬山たまき「…ピーナッツくん、そんなに切れ者なのか」
天開司「いやー、1個1個の言葉のセンス、アイツ凄いぞ!?」
犬山たまき「あーそうなんだ。なんかこう、ぼんやりとピーナッツくんおもろいなあ、みたいな感じで見てると気づかないけど…共演とか何回もやっていくと分かるっていう感じなのかな」
天開司「わかる! わかる!」
犬山たまき「へーそうなんだ」
天開司「アイツのセンスはちょっと真似できないっすね」

犬山たまきch #司会者Vtuber座談会(54:04~)

【切り抜き】司会者Vtuberが「敵わない」「憧れる」「尊敬できる」と思うVtuberは?

 この配信は一年前、まだ犬山たまきが、ぽこピーオタクになる前のもの。
 しかし、今の犬山たまきはすっかりぽこピーオタクになってしまった。 その理由が語られるのが「#ぽこピー覗き見」配信。

 半年前、箱運営(のりプロ運営)が大変だったとき、犬山たまきはぽこピー動画を見るのが癒やしになり、いつしかルーチン化するようになったらしい。
 そのなかで、ぽこピー動画の魅力に気づき、重度のオタクになってしまったとのこと。
 そんな犬山たまきにピーナッツくんが即時に返した言葉がコチラ。

「VTuberで病んでVTuberで癒やされるな!」

 この返し、さすがである。

↑引用:https://www.youtube.com/watch?v=k2l9eHuYw78

 犬山たまきの「箱運営」という重い話題をピーナッツくんは一瞬で笑いに変えたのだ。
 しかも、自分たちのファンであり、自分たちよりチャンネル登録者数が多い相手に、即時にこう言い返せるのだ。
 このワードセンスこそ、天開司をはじめ、ピーナッツくんが愛されるゆえんである。

 今回の即興作詞でも、こんなピーナッツくんのセンスがいかんなく発揮されたといえるだろう。

3.即興作詞に慣れて大喜利状態に

 この動画に出てくる自動作曲サイト「ポンコツちゃん」は、曲名を入力すると、十秒程度の曲を出力するというもの。
 URL(https://aidn.jp/jingle/)が示すように、出来上がる曲はジングルと言ってよいもので、歌詞をノせるには中途半端なメロディラインである。
 即興作詞チャレンジという企画をするのは、ピーナッツくんのような芸達者でないと難しいだろう。
(なお、このサイトの作者はNyan Catの作者)

 ぽんぽこが最初に選んだお題は「ぽんぽこ」
 肩慣らしに自分の名前を使わせるのがぽんぽこの優しさである。

 これに応じたピーナッツくんは適当すぎる作詞を披露。
 まだ、このサイトの作る曲の性質になじめていない様子。
 1曲目を聞いただけではピーナッツくんの才能は伝わらないだろう。

 2曲目はVTuberの「葛葉」
 男性VTuberとして熱心なファンを抱える葛葉の名前を平気で出すところが、ぽこピーのスゴさである。
 そして、ピーナッツくんはぽこピーファンにはおなじみのフレーズを出す。

 これはぽこピーファンにもおなじみの2019年10月2日の「にじさんじMusic Festival」での葛葉のファンサービスのパクリである。
 興味がある人は、下のリンクから該当動画をどうぞ。

葛葉のファンサに感動したピーナッツくんの感想
リアルイベントで平然と葛葉ファンサをパクるピーナッツくん
葛葉本人にも認知されている模様

 コツをつかんだのか、3曲目「トマト」から、曲にフレーズがピタリとハマるようになる。
 そして、5曲目のお題は「ヨルシカ」

 ヨルシカのn-bunaが初期のぽこピーのファンだったことは有名で、ぽこピー初オリジナル曲「言の葉のうた」はn-bunaが24時間配信中に即興で作ったものである。
 そんな大恩ある「ヨルシカ」のお題で、ピーナッツくんの作った歌詞の冒頭がこれ。

 ぽんぽこと同じく、多くの視聴者が首をかしげただろう。
 しかし、オチまで聞けば「ヨルシカだ」と納得できるフレーズが出てくる。

↑失礼すぎると非難するぽんぽこと、してやったりなピーナッツくん

 「ヨルシカ」のお題に対する自動作曲のメロディは牧歌的なもの。
 ほとんどの人は「ヨルシカ」とのイメージのギャップで、耳が拒否反応を起こしてしまうはずだ。
 しかし、ピーナッツくんは「ポンコツちゃん」の作った曲の雰囲気も取り入れながらも、ちゃんと「ヨルシカ」に仕上げていた。
 このセンス、さすがとしか言いようがない。

4.おめシスが暴露したノーカットぽこピー

 ところで、この動画で何度も「編集でカットしてね」と指示するピーナッツくんが気になった人がいるかもしれない。
 それに対して、ぽんぽこは「大喜利のときでもカットしてるから…」とわざわざ視聴者の気をひくことを口にする。

 では、ノーカットだとどうなるのか?
 それを知る手がかりが、おめシスことおめがシスターズとのコラボ動画を見てもらえばよい。

【検証】仲良しVTuberで動画編集交換したらどうなるの?

 ぽこピーの撮影をおめシスが編集した動画は7:09~
 ピーナッツくんが「カットしろ」といった箇所がことごとく残されている動画編集はたいへん貴重なものだ。
 特に、オチを考えるが思いつかないピーナッツくんの姿を楽しめる編集はおめシスならでは。

 ぽんぽこ編集によるおめシス動画と合わせて、ぽこピーを深く知りたい人は必見のコラボ動画である。 

5.ブラッシュアップすればCMソングになれそうな「ポイフル」誕生!

 即興作詞動画に話を戻そう。
 6曲目にお題は「ポイフル」。
 ピーナッツくんが愛してやまないグミのひとつである。

 「ポンコツちゃん」の作った曲を聴いて、ピーナッツくんは本気になることを決意。
 ポイフルのCMソングを目標に作詞に入る。

 その制作過程がピーナッツくんの「カットしろよ」を無視して、ぽんぽこ編集が残しているのは、まさに僥倖。
 ピーナッツくん最大のヒット曲「刀ピークリスマス2021」の印象的なフレーズ「もう一泊」を意識した「もう一個」を盛り込もうと努める姿が残っている。

 こうして、ぽんぽこも「名曲」と認める即興作詞ができあがったのだ。

↑隣で踊ってるぽんぽこと、天を見上げて歌ってるピーナッツくん

 実際のCMソングとなると、編曲的にも歌詞的にもブラッシュアップしなければならないだろうが、屋上でポイフルを食べる二人の高校生の姿が思い浮かぶ歌詞が短時間で仕上がったのは見事である。

 この出来の良さに、思わず、ぽんぽこに当たってしまうところがミュージシャンらしくて良い。

↑ぽんぽこの賛辞を素直に受け止められず謎ギレするピーナッツくん

 むろん、こんな兄と長年付き合ったぽんぽこは、そんなピーナッツくんの性格を知り尽くしているのだが。

6.ピーナッツくんをミュージシャンと認めないぽんぽこ

 こうして、ピーナッツくんはミュージシャンであることを即興作詞で証明したつもりだったが、ぽんぽこは「お前は(ミュージシャンではなく)YouTuberだよ」と決めつけて、この動画は終わる。
 これは、ぽこピーファンからすれば満足できるオチだろう。

 そもそも、ピーナッツくんは、ぽんぽこちゃんねるのゲストという立場。

 我々は毎日のようにぽこピー動画を見て楽しんでいるが、いつ、ピーナッツくんがいなくなってもおかしくないのだ。
 ピーナッツくんの音楽的才能が認められれば、ぽんぽこの撮影に付き合う余裕がなくなるかもしれない。
 「POP YOURS」に出演するということは、それほどのものなのだ。

 ぽんぽこちゃんねるは、チャンネル登録者数やスーパーチャット金額では、企業勢には及ばない。
 しかし、動画再生数だと、企業勢を含めてもVTuber界隈ではトップクラスである。
 集計サイトPLAYBOARDによる2022年3月のVTuberカテゴリの再生数だと、ぽんぽこちゃんねるは約700万回再生で29位。

https://playboard.co/en/youtube-ranking/most-viewed-v-tuber-channels-in-japan-monthly?period=1646092800

 この動画再生数の多さが、ぽんぽこちゃんねるの最大の強み。
 動画中心であるがゆえに、案件に強いという長所もある。
(実際、案件動画も他動画と変わらず10万再生を超えている)
 ぽんぽこちゃんねるは、個人勢としてはトップクラスの安定した人気があるのだ。

 そんなぽんぽこちゃんねるから、ピーナッツくんが離れる可能性はあるだろうか。

https://www.youtube.com/watch?v=9xIuBsm5Qkc

 2022年3月29日にラッパーの晋平太がピーナッツくんを話題にした。
 VTuberが何たるか知らない晋平太がピーナッツくんの「Drippin' Life」を聴くように導いたのはスタッフの力量だ。
 結果的に、ピーナッツファンが「ラッパーにも認められた」と気分を良くした動画に仕上がっている。

 個人的には、晋平太が「Drippin' Life」の「面白くて急死」や「日々が走馬燈」という歌詞にピンとこなかったのが意外である。
 これはピーナッツくんの覚悟の歌詞。
 いつ死んでも構わないぐらいの覚悟で、ピーナッツくんはVTuber活動に挑んでいるのだ。

 アルバムで同時に収録されている「幽体離脱」という曲を、僕はこの文脈で聴いている。

  この曲は、チャンチョがぽんぽこと一緒に歌っている。
 チャンチョというのはキャラクターというよりも、1stAlbum以降、ピーナッツくんの中身である兄ぽこがより自分に近い感情を歌う曲のときに出てくる人格だと思う。

 この「幽体離脱」は自分が急死したときの曲だが、これをぽんぽこと歌っているのは、自分が死んだときにぽんぽこのことが気がかりだったからだろう。

 ぽこピーとしてずっと活動を続けるわけにはいかない。
 様々な要因が、このコンビを解散に追い込むことがあるだろう。
 それでも、ぽんぽこはぽんぽこらしく生きてほしい。
 だから、自分が死んだときを想定して、こんな歌詞を作ったのだと思う。

 解釈は人それぞれだが、僕はそんなふうに「幽体離脱」を聴いている。

 今では、ぽんぽこちゃんねるは安定した動画再生数を保っている。
 一方で、ピーナッツくんの音楽的才能を評価してくれる人たちがいる。
 音楽に本気になるために、YouTuberとの両立は難しいという決断に、ピーナッツくんが迫られる瞬間は、もうすでに来ているのかもしれない。

 僕だって、犬山たまきが「#ぽこピー覗き見」で言うように、二人で企画動画を出し続けていてほしい。
 しかし、そんなファンの想いをピーナッツくんは足かせに感じているかもしれない。

 だからこそ、今の僕はぽこピー動画を全力で楽しんでいる。
 「POP YOURS」のあとも、何事もなかったように、ぽこピー動画が出ることを期待しながらも。

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