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因幡はねるの漫画クイズに人気配信者が挑む【#Vtuber漫画王】

 2021年7月12日に配信された、因幡はねる作成の漫画クイズに人気Vtuberが挑む配信【#Vtuber漫画王】
 趣向をこらした四種の漫画クイズは、人気作品を中心にしながらも、タイトルだけでなく内容を知らないと答えられない問題ばかり。
 特に「敵に塩クイズ」はQuizKnockの山上大喜が賛辞を送っていた。

 回答者はいずれも人気Vtuberで、不定期でコラボ配信を行っている「漫画プレゼン同好会」のメンバーということで、中だるみを感じさせる展開はなかった。
 約90分の配信だが、視聴者を飽きさせないクイズ番組に仕上がっていた。

 BGMや画面デザインといった演出面は地味だったが、それでこそ出題者と回答者が楽しんでいることが伝わり、視聴者としても面白い配信だった。
 ファンの監視力に定評のある因幡はねるだが、クイズ配信の企画・問題作成・司会進行の能力はVtuber界隈でも群を抜いているのではないか。
 クイズ生配信の成功例として、もっと評価されていいと思う。


(1)四種の漫画クイズの巧みさ

 このVtuber漫画王で出題された漫画クイズは四通り。

1.あの頃のジャンプクイズ
2.画像で連想 敵に塩クイズ
3.自分を漫画のキャラクターと思い込んでいる異常者クイズ
4.早押しクイズ

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 [あの頃のジャンプクイズ]は30年前の週刊少年ジャンプの特定号に連載された漫画作品のタイトルを順番に当てていくというクイズ。
 「問題画面作成に一番時間がかかった」と因幡はねるが言ったように、それぞれのロゴをフォントで真似ているのが良かった。
 30年後でも知られているような、アニメ化された人気作がズラリと並ぶラインアップ。
 とはいえ、一般視聴者ならば、ヒントなしではすべての作品を答えられなかっただろう。

 しかし、回答者は「漫画プレゼン同好会」として、みずからのオタクっぷりをアピールしているツワモノばかり。
 漫画オタクとしての矜持のためか、あえて人気作を答えずに視聴者をジラすような展開であるのも面白かった。
 結果として、問題作成&司会進行の因幡はねるが想定したよりも早い時間でクリア。
(おかげで用意した問題をすべて使うことができたので、視聴者にはうれしい誤算となった)
 参加者の漫画知識に驚くだけでなく、当時と今のジャンプ掲載順の指向の違いを知ることができるコーナーだった。
 巻末に定位置のギャグ漫画が、この当時にはなかったりとか。

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 [画像で連想 敵に塩クイズ]はQuizKnockの山上大喜が褒めたように、生配信映えのするクイズコーナー。
 漫画クイズ以外でも応用できそうなルールだ。

 内容はイメージ画像5枚をヒントに作品名を当てるというものだが、5枚目まで見れば漫画オタクでなくとも答えられる難易度となっている。
 しかし「敵に塩」というクイズ名があるように、最初は1枚しか見ることができず、不正解になると次の画像が開かれて、回答権が移るというルールになっている。
 そのヒントも、段階を経るごとにわかりやすいものになっている。

 そして、このヒントというのが、タイトルの語呂合わせのような、漫画オタクの怒りを買うようなものではない。
 内容を知らなければ答えられないものになっている。
 ルールだけでなく、ヒントの出し方も工夫が感じられた。

 このイメージ画像は無料素材からとられたもの。
 原作そのままの画像を使えば、著作権などに抵触するからだ。
 この、漫画クイズでありながら、漫画の画像を使えないという不都合さを逆に面白さに変えた素晴らしい企画である。

 なかには、あからさまにワナと思えるようなヒントもあり、三枚目だと国民的漫画を想像させるが、五枚目までめくるとオタク大好きなあの作品となったりと、生配信ならではの魅力をいかしたクイズだった。

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 [自分を漫画のキャラクターと思い込んでいる異常者クイズ]は配信当日に思いついたアイディアであると言う。
 単純に説明すると、作中のセリフ3つでキャラクターをあてるというクイズだが、「異常者クイズ」というルールにすることで、おかしみが増す。
 何しろ、その異常者は「いらすとや」のおなじみ汎用画像で、そのセリフを言うのは因幡はねるなのである。
 
 回答者は「漫画プレゼン同好会」のメンバーということもあって、因幡はねるは個々人が好きなタイトルを中心に問題作成したらしい。
 だから、天開司が福本伸行作品では光の速さで回答したり、北斗の拳好きな社築が正解できずに悔しがるというドラマがあった。
 このクイズで反応が一番面白かったのは緑仙で、いらすとやのキャラがカッコいいセリフを言う絵面に大笑いしていたが、いざ自分が好きな作品になると「おまえは違うだろ! 汚れる!」とオタク心剥き出しで本気に怒るのが良かった。

 最後は王道の[早押しクイズ]
 工夫がないと感じられるかもしれないが、早押しクイズの問題文の作り方にこそ、クイズ問題作成のセンスが試されるといえるだろう。
 Wikipediaのような、少ない文字数で明確に情報を伝える文体で早押しクイズをしたら、誰が楽しめるだろうか?

 また、この前日に配信された[プロだらけのお絵描き伝言ゲーム]に出演した漫画の作品も多く出題された。
 因幡はねるファンの人は、その事実に気づき、ニヤニヤしながら回答者の思考戦を楽しんでいたのではないか。
 
 ただし、一番最後の問題は茶番すぎた。
 ここまで「因幡はねるは素晴らしいエンターテイナーだ!」と感心していた視聴者は、最後の最後で「やはり因幡はねるは因幡はねるだったか…」とあきれたことだろう。

 司会進行の因幡はねるとしては、この茶番問題に緑仙が正解して大逆転、独走していた伊東ライフが「おかしいやろ!」とツッコむ展開もオイシイと考えていただろう。
 だが、彼らの漫画オタクとしての矜持はそんな茶番を許さなかった。
 このあたり、回答者が本気で漫画クイズに挑んでいたことが視聴者にも伝わって、これはこれで良い結末だったと思う。

 結果として、回答者・視聴者そして出題者も楽しめた素晴らしいクイズ配信であった。

(2)漫画プレゼン同好会の歩み

 さて、この「Vtuber漫画王」の出演者である「漫画プレゼン同好会」は、不定期で好きな漫画を紹介するというプレゼン配信を行っている。

 最初は緑仙チャンネルでの「ジャンプ黄金期ディベート大会」という企画。
 2020年10月12日の配信であるから、それから9ヶ月近く配信を続けているのだ。

 漫画プレゼン同好会のアーカイブを見たいかたは、こちらからどうぞ。


 次は8月に伊東ライフのチャンネルで「一般誌掲載のエロい漫画」プレゼンを行うらしい。
 実に興味深い内容である。

 また、今回で「漫画王」第二回も開催するという流れになっていたのは喜ばしいこと。
 ぜひとも、漫画プレゼン同好会の特別企画として、さらなる漫画クイズ配信を期待したいところだ。

※漫画プレゼン同好会は、メンバーのチャンネルを持ち回りで配信されているので、探したい人は[#漫画プレゼン同好会]のタグからどうぞ。

(3)クイズ配信者としての因幡はねるの底知れぬ魅力

 因幡はねるといえば、ファンへの監視力の高さに定評がある、独占欲の強いアイドルVtuberである。
 それは事実なのだが、クイズ企画の面白さももっと評価されて良いのではないか。

 そもそも、因幡はねるの多人数コラボはクイズ形式であることが多い。
 定番企画「VakaTuberは誰だ?」の学力テストもクイズと言われればクイズだ。
 それぞれの問題は配信のテーマや回答者に合わせて、趣向を変えられている。


 例えば「VakaTuberは誰だ?」は一般教養問題でありながら、珍回答を誘発する問題作成がなされている。
 中学生ならば解けるような内容で、とんでもない回答をするVtuberを楽しむ企画だからだ。

 「因幡はねるアンチ王」という常軌を逸した企画も、分類するならばクイズ配信である。
 ただし、正解するだけでは面白くないわけで、ゲストは「絶対に楽しくなる」と信頼できるメンバーが集められたという。
 それぞれの企画において、面白さを演出するための比重が異なっていることがわかるだろう。

 因幡はねるにとっては、クイズ配信において、どんなテーマにするのか、どんな人選にするのか、どんな問題を作るのか、どんな司会進行をするのか、というのは一体化したものなのだろう。
 だからこそ、そのクイズ配信はエンターテイメントとして良質なものになっている。
 因幡はねるプレゼンツ配信は、演出面では見劣りするかもしれないが、だからこそ、クイズの面白さがダイレクトに伝わるのが良い。
 これをすべて一人でできるVtuberは他にいるのだろうか?

 感想配信によると、メンバーシップ限定で作業配信を行っているらしい。
 因幡はねるプレゼンツ配信を十全に楽しむのならば、直後の感想配信だけでなく、事前のメンバー限定配信も視聴しなければならないのかもしれない。
 ということで、因幡はねるチャンネルのメンバーシップに入ることに本気で悩んでいる僕である。
 もし入れば「誰でもウェルカム、ただし組長の監視対象になります」という恐るべき「因幡組」の一員になるということなのだけれど。

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