4月1日に公開されたVTuberぽこピーによる【ポコピーの原罪】がパロディ動画として最高だった
4月1日。エイプリルフール。
VTuber界隈では、数多くの一発ネタが披露された。
それを楽しむ人が半分、飽き飽きしている人が半分ぐらいだったのではないか。
しかし、この二人はネタではなく動画として楽しめるもので勝負してきた。
VTuberのぽこピー(ぽんぽこ&ピーナッツくん)による【ポコピーの原罪】である。
・ポコピーの原罪 - ぽんぽこちゃんねる - YouTube
パロディ元はジャンプ+に連載されて賛否両論の話題作となった【タコピーの原罪】
小学生のアンモラルな行動が描かれ、読者を困惑の渦に巻き込んだ問題作である。
そんな【タコピーの原罪】をパロディにすることは、不謹慎だと思われるかもしれない。
しかし、公式でも【タコピーの漫才】というエイプリルフールネタをしているのだ。
ぽこピーによるパロディ動画【ポコピーの原罪】は、原作の象徴的なシーンをオマージュしながらも笑いに変えている。
また、ぽんぽこが田舎のマイルドヤンキー風である等、いつもの動画での関係性がパロディの展開に活かされている。
一発ネタではない、動画として完成されたパロディであったのが、この【ポコピーの原罪】であったのだ。
1.1枚のファンアートが示した【ポコピーの原罪】の可能性
ジャンプ+で連載されていた【タコピーの原罪】が話題になるなかで、ぽこピーと字面が似ているという理由だけで、こんなファンアートが生まれてしまった。
・https://twitter.com/pekatyo/status/1507368091671756814
ぽこピーを知らない人に説明しておくと、二人はリアル兄妹である。
ピーナッツくんは兄、ぽんぽこは妹。
昔は配信でピーナッツくんのことを「お兄ちゃん」と呼ぶことも多々あった様子。
・生放送中「お兄ちゃん」呼びするぽんぽこまとめ【ぽこピー切り抜き】
ぽこピー動画では、妹(ぽんぽこ)が兄(ピーナッツくん)を使い走りさせる企画は少なくない。
ピーナッツくんがヘンなものを買ってきて、ぽんぽこがキレながらも、時間が間に合わないといって、それを使って動画にするという企画は、ぽこピーの様式美の一つである。
【タコピーの原罪】は読む人を選ぶ漫画だが、ぽこピーがパロディにすれば、それを笑いに変えることができるのではないか?
その可能性に本人が気づくあたりが、さすがぽこピーである。
2.原作ではショッキングなシーンがパロディでは「残当」に
今回のパロディ動画【ポコピーの原罪】では、ぽんぽこは「田舎のマイルドヤンキー」っぷりを強調させている。
原作とは真逆の展開だが、タコピーならぬピナピーと化したピーナッツくんに同情するのは開始数十秒で終わる。
なんと、この企画はピーナッツくんがいじめられる「ピ虐」ではなく、ぽんぽこが苦しむ「ぽ虐」であったのだ!
使い走りでヘンなものを買ってくるピーナッツくんを、ぽんぽこはよく「コミュ障」となじっているが、コミュニケーション不全こそが原作【タコピーの原罪】のテーマの1つ。
しかも、マイルドヤンキーなぽんぽこだが、その正体はYouTuber。
撮れ高のためには、逃げてはいけないのがYouTuber(であるらしい)。
そんなぽんぽこの悪戦苦闘を楽しむピーナッツくんという構図ができあがってしまっているのだ。
だからこそ、原作ではショッキングであった場面が再現されても、視聴者は「残当」(残念だが当然)と感じられたのではないか。
原作のやりきれなさに比べると、ぽこピーのパロディ動画のバカっぽさは清々しいといっていい。
このぽこピーならではの、原作リスペクトのパロディに、僕は笑いを通り越して感心してしまった次第である。
まあ、冒頭の「お腹減った」ピナピーのセリフがまったく解消されてなかったり、ぽんぽこがピナピーをタコピーと言い間違えたりと、完成度という点では致命的だったりするのだが、こういう抜けているところも、ぽこピー動画の魅力。
だからこそ、我々は気楽にぽこピー動画を味わえるのだ。
3.VTuberであることの強み
VTuberに興味がない人は、このパロディ動画を見て「バーチャルである必要はあるのか?」と思われるかもしれない。
しかし、このパロディの原作は漫画。
漫画とVTuberの相性は抜群に良いのだ。
以前、ぽんぽこがインタビューで語っていたように、ぽこピーはVTuberよりも一般YouTuberの企画を参考にすることが多いという。
しかし、ぽこピーは一般YouTuberのマネをしているだけでないことは、今回のパロディ動画を見ただけでもわかるはずだ。
ピーナッツくんが、タコピーならぬピナピーとなっているのはバーチャルの身体を変化させられるVTuberならでは。
また、この動画のオチはVTuberでなければ説得力はなかったはずだ。
2021年からメタバースという言葉が流行になっているが、バーチャルで活動するVTuberの可能性は計り知れない。
ぽこピーも自分たちがバーチャルであることを利用して、自分たちのファンのオフ会に違うアバターで潜入したり、気軽に(あまりにも気軽に)コラボをしていたりしている。
・【緊張】自分のファンのオフ会に潜入したらバレるのか? - YouTube
多くの人はVTuberといえば、スーパーチャットやゲーム実況を連想されるかもしれないが、ぽこピーは企画動画をほぼ毎日更新し続けている。
VTuberに偏見を持っている人は、ぽこピー動画を見れば「バーチャルであることの強み」がわかるはずだ。
※ちなみに、VTuberで最初にスーパーチャット総額世界1位を達成したのはピーナッツくんである。
4.なぜオチであの人が出てくるのか
この動画のオチで出てくる人は、動画概要欄に出てくる。
できれば、動画を楽しんでから、それを知ってほしい。
なぜ、この人なのか、という疑問をいだく人もいるだろうが、ぽこピーを知っている人には納得しかない人選ではなかろうか。
ぽこピーは活動歴の長さや24時間番組(ぽんぽこ24)を成功させた実績から、VTuberの交遊範囲は広い。
その気になれば、様々な人をコラボに呼ぶことができるはずだ。
しかし、ゲストに連絡するのは、大抵ぽんぽこの役目。
ピーナッツくん(というより、その中身である兄ぽこ)は、社畜を経験しているだけに、業務連絡は得意だが、飲み会みたいなノリは苦手なことで有名である。
・新年会で陰キャムーブをかましブチギレるピーナッツくん【ぽんぽこ生放送/ピーナッツくん/ぽんぽこ】
↑飲み会自粛前である2020年正月のエピソード
物語の展開的に、ぽんぽこが手配したと思われるゲストを出演させるわけにはいかない。
だから、あの人でなければならなかったのである。
また、投げっぱなしに見えるオチも、「魔法」という言葉を強調することで、原作既読者は「だよねー」と微笑ましくなるはずだ。
このパロディ動画はもっと評価されるべきであると思う。
5.ピーナッツくんによるパロディ動画
ピーナッツくんは流行アニメのパロディを少なからず公開している。
こちらはシン・エヴァのパロディ。
原作を見た人なら笑える内容だろう。
声優ぽんぽこの名演も光る。
鬼滅の刃のパロディもある。
こちらは、ぽんぽこに声優を断られたらしいが、サムネイルを見れば納得。
映画を見た人なら、原作を妙にオマージュしている展開に、呆れを通りこして感動することだろう。
また、VTuber活動前に公開していたショートアニメ「おしゃれになりたい!ピーナッツくん」では、大物YouTuberをパロディにしている。
・第31話「 IKAKIN TV 」オシャレになりたい!ピーナッツくん【ショートアニメ】
これはHIKAKINならぬIKAKIN TV。
1分未満の凝縮された内容に、HIKAKINファンはバカにしていると激怒するかもしれないが、本人によるとリスペクトとのこと。
・第32話「ぽじめしゃちょー」オシャレになりたい!ピーナッツくん【ショートアニメ】
次の回は、はじめしゃちょーならぬ、ぽじめしゃちょー回。
2017年10月に公開されていたことを留意すれば、よくできたパロディだと感じられるのではないか。
この他にも、かなり攻めた内容もある。
twitterでしか公開していない幻の回もあるので、興味があれば全話視聴したあとで非公式Wiki で調べてみればいいだろう。
このように、ピーナッツくんは流行ネタに堂々と乗っかるパロディを多く公開しているが、そのなかでも【タコピーの原罪】は群を抜いて面白い内容になっていると思う。
6.これまでのぽこピーのエイプリルフールネタ動画
4月1日のぽこピー動画は悪ノリしているケースがほとんどである。
例えば、2020年4月1日に公開された【ぽんぽこの裏の姿】。
ピーナッツくんは、スキあらばぽんぽこを「タバコを吸っている」と流言しているが、それを実践したのがこの動画。
全編にわたって、ピーナッツくんの中身である「兄ぽこ」が声を出しているという極めて珍しい動画ということもあって、ファンの人気は高い。
兄ぽこによる、田舎のマイルドヤンキーが喋りそうな内容という偏見に満ちた会話が面白く、何度も見てしまう魅力がある。
2021年のエイプリルフールネタはピーナッツくんが逮捕されたもの。
ゆるキャラグランプリ優勝という肩書を無駄づかいしているとしか言いようがない内容である(褒め言葉)
・オレら鳥獣戯画、YouTuberに大人気の "アレ" やる。
2019年のエイプリルフールは鳥獣戯画ネタ。
なぜこうなったのか、ニワカぽこピーファンの僕にはさっぱりわからないが、こういう意味不明さもぽこピーの魅力であろう。
7.ぽこピーを知らない人へ
ぽこピーについて知りたい人がまず読むべきものは非公式Wiki。
というと、たいていの人が眉をしかめるかもしれない。
非公式Wikiの多くは雑多な情報があふれかえり、読みにくく、内容がわかりづらいからだ。
しかし、ぽこピーの非公式Wikiは文章の質、情報整理がともに優れている。
ライターにファンが多いせいか、どう読んでも素人の仕業とは思えない。
ぽこピーの歴史はVTuberの歴史を重なるところが多く、サブカルチャーを理解する上でも非常に有益なサイトである。
特に有用なのは、次の2つ。
・甲賀流忍者ぽんぽこ - ぽんぽこ・ピーナッツくん非公式Wiki
・兄ぽこ - ぽんぽこ・ピーナッツくん非公式Wiki
また、KAI-YOUでは、ピーナッツくんの中身である兄ぽこへのインタビューが掲載されている。
・「兄ぽこ」インタビュー VTuber個人勢としての矜持と未来 - 甲賀市で、妹と、VTuberで生きていく(KAI-YOU Premium)
有料記事ではあるが、金を払ってでも読みたい内容。
VTuberはなぜ流行したか、その源泉を知ることができるはずだ。
(なんせ、ピーナッツくんはスパチャ世界1位を初めてとったVTuberである)
まあ、文章を読むよりも、ぽこピー動画そのものを一本でも多く見るほうがオススメかもしれない。
僕のオススメは別記事で書くとして、最近のぽこピー動画はどれも面白いので、興味があるものを見ていけばいい。
気づけば、ぽこピー動画を何度もリピートしてしまう重度なファンになっているはず!
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