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人材紹介事業立ち上げへの道のり【2回】地域と若者を繋ぐ 新しい人材紹介のカタチ

筆者:角田千鶴(一般社団法人ミライゴト代表理事、株式会社山陽管理代表取締役社長) ※プロフィールの詳細はこちら

まず、皆様からの温かいご支援に心より感謝申し上げます。第1回の配信後、多くの方々から共感と励ましの声をいただき、この挑戦への確信をより強くすることができました。


なぜ、有料職業紹介事業なのか

この決断の背景には、10年に渡る地域での実践があります。

2014年、私は若手起業家支援ビル「DioPorte」を立ち上げました。不動産業として、起業の初期コストを下げることで、この街での挑戦を後押ししたい。そんな想いからでした。敷金・礼金ゼロ、共用会議室の無料提供など、ハード面での支援から始めたこの取り組みは、現在では福山市内3カ所5棟にまで拡大しています。

しかし、実際に起業家の方々と接していく中で、想定外の展開がありました。
「決算書の作り方がわからない」
「コピー機の選定に悩んでいる」
「人材確保がうまくいかない」
まるで母親のような存在として、様々な相談を受けるようになったのです。

特に深刻だったのが人材の問題でした。
せっかく軌道に乗り始めた会社が、適切な人材を確保できずに苦しむ―。
そんな場面を何度も目にしてきました。

一方、2019年からは高校生・大学生向けのアントレプレナーシップ教育「Sta-sh」を展開。若者たちが地域課題の解決に向けて真摯に取り組む姿に、大きな可能性を感じてきました。

2019年 U24高校生大学生創業体験プログラムSta-sh01

そんな中で増えてきたのが、就職に関する相談です。
一旦は福山を離れた学生たちが、地元就職を考える際に直面する悩み。
「どの会社を選べばいいかわからない」
「自分の可能性を活かせる場所はあるのか」

これらの経験から、有料職業紹介事業という選択に至りました。私たちには、長年の不動産業を通じて築いた地域企業とのネットワークがあり、起業家支援で培った経営課題への理解があります。そして何より、若者たちの可能性を信じ、共に歩んできた実績がある。これらを活かせば、従来にない形で若者と企業を繋ぐことができるのではないかという想いでこの一歩を踏み出す決意を固めました。

許可取得の決断に至った背景

実は、この許可取得の決断には、もう一つ重要な理由がありました。

私たちが若者支援活動を通じて実施したいと考えていた以下のようなイベントには、有料職業紹介事業の許可が必要だということが分かったのです:

  • 就職フェア
    企業がブースを設けて求職者と直接面談し、採用活動を行うイベント。企業が求職者をスカウトする場合も含まれます。

  • キャリアセミナー
    企業が講演やワークショップを通じて求職者にアピールし、採用活動を行うイベント。

  • ネットワーキングイベント
    企業と求職者がカジュアルに交流し、採用の可能性を探るイベント。

これらのイベントは、企業が求職者をスカウトすることが目的となるため、職業紹介業の許可が必要です。許可なく採用目的のイベントを開催すると、職業安定法に違反することになります。

次世代に誇れる形で若者支援を展開していくために。そして、私たちの活動をより発展させていくために。この許可取得は必要不可欠な挑戦だと確信しました。

職業安定法に違反するとリスクや罰則が伴います。

可能性のある罰則

  1. 罰金: 無許可で職業紹介活動を行った場合、罰金が科される可能性があります。

  2. 業務停止命令: 違法な活動が確認された場合、関連する業務の停止命令が出されることがあります。

  3. その他の行政処分: 厚生労働省からの監督や指導が行われ、場合によっては事業運営に影響を及ぼす行政処分が行われることがあります。

これらのリスクを避けるためには、適切な許可を取得し、法律や規則に従って活動を行うことが重要だと考えました。

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