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地元と転勤|賃貸と持ち家

高校を卒業したあたりから、地元に残って就職する人と大学に進学する人に分かれる傾向があるかと思う。もちろん、その地方によるが、僕の地元はそうだった。

そしてもう少し月日が経過すると、大学に進学する人は都内だったり地方だったり、新卒の社会人として実家を出てひとり暮らしを始めたり、結婚したりして地元には戻ってこなくなる。

更に何年かすると、結婚した人のなかからは家を買う人が出てきて、その人は基本的にずっとその土地に暮し続ける。

転勤の多い仕事をしていたり、フリーランスとして働いていたりする人は賃貸を続け、安定して定住する生活をしている会社員が持ち家に住んでいるような傾向があるように思う。事情や背景はもちろんもう少し多様だが。

人間関係の築き方も、大人になってからも地元の友達と長年付き合い続けている人もいれば、地元には滅多に帰らずに、現在住んでいるエリアで人間関係を築き、仕事に関わる新しい出会いから知人を増やしていく人もいる。

これらをざっくりとカテゴライズするとしたら、定住派と引越し派といったところだろうか。(遊牧民派だと少し意味合いが変わってしまうので、引っ越しという言葉を選んだ)

これらはそれぞれ良いところも悪いところもあり、事情もそれぞれだから、どちらが良いということではない。

僕はもともと地元の友人や学生時代の友人と仲が良かったが、20代前半にがんに罹ってしまい体調も価値観もガラッと変わり、そのまま人間関係さえも変わってしまった。若い頃の友人とは滅多に会わなくなり、仕事の都合もって、引っ越し派になったのである。

病気になったのが20代という若い年代だったことも大きな理由だった。当時はみんな当然のようにタバコを吸っていたし、酒も飲んで食事量も多い。体力だって無限のようにあるので、朝まで遊んで暮らすことの方が普通なくらいなのだ。

しかし僕のがんは胃がんだったので、胃を全摘出してガリガリの身体で、禁酒禁煙で食事もできず、そんな身体で彼らについていくことなどできなかった。気にかけてくれた友人も多かったが、それが逆に辛く、いつしか全く会わなくなってしまったのだ。

だとしたら、新しく生きていく先で人間関係を築いていくしかなく、それはそれでうまくいき、刺激的で楽しく過ごせている。30代を過ぎてからは、出会ってからお互いのことを話し合うと、30年以上生きていることもあり語り合うことは山ほどあるのだ。

だから僕はできるだけフットワーク軽く生きていきたいと思っており、持ち家を買って定住しようという気になかなかなれない。どちらが損得かという議論は大昔から続いているが、フットワークが軽くいられる点で賃貸一択なのだ。何かしようと言う時に行動できないことほど辛いものはない。

しかし、時々、地元に長く残って家を買い、古くからの友人や家族と一緒に過ごしている人を見て幸せそうだなと思うことは多い。昔からお互いのことを知っているのだから、安心感は物凄く大きいだろうし、社会的なセーフティネットにもなっているのだと思う。

最近は持ち家と賃貸について、どちらが得なのかといった議論が多く見られる気がしている。投資を始める人が増えたんだろう。

損得の計算で言えば、僕は賃貸に分があると思っている。だが、これに関しては損得勘定ではなく、自分の生活と人間関係が関わることなのだから、そこはお金ではないところに比重を置いて良いと思う。

ただ、いずれにしても高い出費だから損はしないように、そして損をしているとしても、それを上回る喜びや幸福感が得られる時に持ち家というものを考えたい。

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