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互いに羨む派遣社員と正社員

一般的には、正社員であることの方が安定した収入を得ることができ、責任のある仕事を任せられるとされています。そのため、多くの人が正社員になることを目指しているはずです。

契約社員も同じで、毎年の年度末に契約を延長するかどうかの期間が近づくたびに、その先の仕事の不安を抱かなければならなくなります。

これが、よく騒がれる非正規雇用の問題で、個人的にはこれは職業差別が文化として定着して見過ごされている日本の社会問題なのだと思っています。だって、正社員よりも高いパフォーマンスを発揮する非正規雇用の従業員はたくさんいるわけだし、契約という身分で差別がされているんじゃないかと。

ただ、個人がこの社会問題を解決できるわけではないのも事実なので、成果を評価されないことが苦しいのならば、正社員を目指すということになるでしょう。こうして、正社員と派遣社員の溝はどんどん深まっていきます。

それでも、冷静に考えてみれば、正社員が必ずしも仕事に満足しているかというと、そんなことはありません。彼らはいつも上司の愚痴を言い、低い給与の文句を言って、自らを社畜と卑下しています。あまり幸せには見えないことの方が多い。

それに比べて、派遣社員であれば、基本的には決められた時間で帰社し、責任の大きな仕事はそもそも割り当てられることがないので、ストレスも少なく自分の時間も確保がしやすいものです。

正社員は将来の安定的な収入の対価として、大きな責任と過剰なストレスに耐え続けているわけなので、見方によっては派遣社員の方が有意義な人生を送れるようにさえ見えます。

僕はどちらの方が良いと言っているのではなく、本来はシンプルにトレードオフの関係なのだと思っているだけです。将来の安定した収入が欲しければ正社員を、将来の安定した収入よりもストレスや残業が少ない仕事を求めるならば派遣社員を選べばよいだけです。

つまり、実のところ、派遣社員は「私も安定した収入を得るためにいつか正社員になりたい」と言い、正社員は「私も責任が少なく定時に帰れる派遣社員になりたい」と心のなかでは思っている、互いに羨んでいる構造なのかもしれないのです。

正規/非正規の社会的な印象はあまり気にせず、自分にとって相性の良い働き方を選べば、それでいいんじゃないでしょうか。

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