
年齢について考える時のコペルニクス的転回のすすめ
一般的には年を重ねることに対して、ネガティブな意識を持っている人の方が多数派だと思います。
過ぎ去っていく日々の早さを考えると「もう○○歳になってしまった」と思ってしまうのも当然の感情だと思います。
就職やキャリアアップ、資産運用、結婚や出産など、若年期には大きなライフイベントも多く、それを経ていくうちに自分の年齢がカウントアップしていくことに、焦りを感じていくようになるものです。
また、若いうちに何かを達成しなくていけないと感じたり、体力があるうちにやりたいことをやっておかなければいけないと感じたり、年齢を意識する度に様々な感情が湧いてくるのは至極当たり前です。
僕も同じような感情を基本的には抱いていますが、それでも年に何回かのタイミングで年を重ねることに対して、180度転回したポジティブな思いを抱くことがあります。
僕は23歳の頃にがんの診断をされて死んでしまうことを強く意識した経験があります。
医療者のおかげもあって10年以上経った今も無事に生き続けることができていますが、今も時々は通院をしており、そういった時は当時の記憶がありありと蘇ってくるものです。
年齢を重ねることに対して、気持ちがネガティブになりはじめていた30代前半の頃、通院をした時に主治医から何気なくこう声を掛けられました。
30歳になったんだね。
手術をしたのは23歳の時で、当時の主治医も今まで執刀を担当した患者さんのなかで最も若い年齢だったと聞いています。
そういった事情もあり、僕のことは強烈に印象に残っていたようで、当時手術をした僕が30歳を迎えていたことに感慨深い気持ちになってくれていたのでした。
この声掛けをいただいてから、年を重ねるということは決してネガティブなことではなく、起こり得る人生のリスクを乗り越えて着々と日々を積み重ねていく、生きていく証のようなものに感じられるようになりました。
年齢を重ねていくと、どうしても世間一般との相対的な比較や、身近な人と自分を比べることでネガティブな気持ちになることが多いですが、生きているということ自体が当たり前ではないことを意識することで、その気持ちは180度展開し、ポジティブに受け入れることができるようになります。
年を取ることは避けられない現実である以上、年齢について考える時は、コペルニクス的転回をすることをおすすめします。