将来が不安でも気楽になる方法|あのベーシストは今
学生時代に就職活動をしていた頃、特にやりたいこともなく金を稼ぎたいような野心もなかった僕はただひたすら音楽を聴いてベースの練習をするような日々を過ごしていました。
バンド活動をしていた友人たちもひとりまたひとりと、長かった髪を切りスーツを身に纏って就活説明会にぎこちなく参加し始めていきます。
彼らを横目に「自分も変わる必要があるのかもしれない」と思いながらも、長年続けていたベースの練習をすぐに断ち切ることはできず、いろいろな音楽を聴きながらぼんやりと将来のことを考える日々を過ごすことになります。
そんな気持ちで音楽を聴いていると、その曲の演奏者の人生に思いを馳せるようになっていきます。もちろん妄想も多く含んで。
ビートルズの様な専属のロックスターに関しては、基本的に生涯音楽に携わり続けているので、この妄想の範疇ではありません。
思いを馳せるのは、ひと昔前に売れたミュージシャンなどです。芸能人ならば「あの人は今」といった話題に時々なりますが、ミュージシャンに関しては、あまり触れられる機会はありません。彼らがその後どの様なキャリアチェンジをしたのか、気になって仕方がなくなってしまうのです。
特に、僕はベースを長年弾いているので、普段はスポットがあたりにくいベーシストのその後の職業に思いを馳せることになります。
その曲のベース音を聞きながら「このベースラインめっちゃセンスあるな。今、この人どんな仕事してるんだろう。」と妄想を働かせてしまうのです。
ベースプレイで磨き上げた繊細な指使いを何かに活かしてるんだろうか、それとも牛丼屋の店長とかになってるんだろうか、バンドでは目立たないポジションだったけど会社員になっても目立たない職位なのだろうか、などなど数え切れない妄想がベーシスト視点で沸き上がり続けます。
僕は専属のミュージシャンになれたことがないので、詳細はわからないのですが、過去にジャズベーシストの確定申告について書かれた興味深い記事がありました。ベーシストも労働者であり納税義務者なのです。(ちなみにベーシスト視点での「譜面の様に帳簿の付ける」という概念はめちゃくちゃ面白いので、ぜひ多くの人に読んでほしい記事)
大人になった今でも、時々「自分はこのままでいいんだろうか」と思ってしまったり、将来に不安を感じてしまったりすることがあります。
しかし、こういったスポットが当たりにくい人たちの生活に思いを馳せることで「みんな自分なりに何とかやってんだな」といった気持ちになることができます。
市場の要求に合わせるだけではなく、自分がやりたいことを素直にやり抜いたプロフェッショナルの、世の中との折り合いの付け方が凝縮されているのではないでしょうか。
自分ひとりで人生や将来を考えていると滅入ってしまうことが多くありますが、そんな時はスポットが当たりにくい人の生き方に思いを馳せてみることをおすすめします。