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夢と自由にカモられぬように

今までに数回ほど、ネットワークビジネスの勧誘を受けたことがある。いずれも友人だと思っていた人からの勧誘であり、残念ながらその交流は途絶えてしまうことになった。

ネットワークビジネスとは、ビジネスに参加した人が知人や友人を介してさらに参加者を広げていき、商品販売や紹介によって利益を得ていく取引形態である。法的な詳しいことはわからないが、規制対象のものもあれば、そうではないものもあるのが現状のようだ。

僕が勧誘を受けたのは生活必需品にあたる化粧品や健康食品に関わるビジネスであり、それらの商品の魅力をアピールされるとともに、このビジネスに参加することで得られる特権を説明してもらった。

最も印象に残っていることは、その特権の説明の内容で、みんな口を揃えて「夢を叶えるため」「自由を手にするため」といった言葉を選んでいたことだ。このビジネスを膨らませていくことで、社内でのランクがあがって次第に働いて稼ぐ必要がなくなるほどの収入を得られるのだという。

これらの勧誘をしてきた当時の友人に、なぜこのビジネスに参加したのかを聞いてみたところ、大学を卒業後に大手企業に就職したが、激務に陥ってしまい残業も過剰で休日も充分に取れず、次第に搾取されているように感じ始めて悩んでいた時に、ネットワークビジネスの勧誘を受けて参加したということだった。

夢が叶わずに自由を失っている状態で、夢と自由の魅力を語られれば、心を掴まれてしまう理由もわかる。確かに激務の会社員には夢も自由もありはしない。

もちろん、法的に違法でさえなければ、これらを否定はしない。人にはこういったビジネスを選ぶ自由があるし、そのビジネスだって社会に価値を提供しているはずだ。

だが、夢や自由を吹聴されると、どうしても違和感を感じてしまった。そのビジネスに参加することによって、自分もその商品を利用しながら周囲に販売と紹介をしなければならなくなる。それって、却って自由を制限していないだろうか?

そして、自由という言葉の聞こえはいいが、そもそも自由には責任が伴うものであり、悠々自適とは異なるものなのだ。自分で行動を計画しなければならないし、資金繰りも自分で管理しなければならない、失敗した時に被害を被るのも自分だ。言葉の響きほど良い面ばかりではないはずである。

もちろん夢は叶えるべきであり、自由は手にするべきだと思う。しかし、安易に吹聴される「夢」や「自由」の言葉には充分に注意してもらいたい。責任を取ったり代償を払うことになるのも、あくまで自分になる。

人は次第に環境に順応することができ、現状を時間を掛けて打開してくことだってできる。夢も自由もすぐに手に入るものではなく、少しずつ時間を掛けてコツコツと手に入れるよう努力をするべきではないか。

時間を掛けて努力していくその過程こそが、とても有意義で楽しい時間になっていくはずだ。だから、現状がしんどい時は、少しだけでもポジティブなビジョンを持つ様にして、冷静な判断ができるように心がけておきたい。

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