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送別会・忘年会|それぞれの思惑

僕が参加できなかった会社の送別会がある。仲良くしていた同僚が先月末に退職をしたのだが、その時に開催されていたものだ。エリアが違うため僕が参加するには新幹線を使う必要があり、経費も降りなそうだし、早く帰りたいし、僕は不参加としていた。「今度個別に飲もうね」といった感じで軽く送り出している。

しかし、どうやらその送別会には会社の幹部どころか社長までも参加するらしく、大勢で大賑わいになる様子を見せていた。彼が退職希望を出した時は社内が大騒ぎになり、批判的な意見まで出ていたほどだったにも関わらず、最後の宴会はお祝いムードになっている。

終わってみると社内報のように、社長からのメッセージも添えた送別会の写真が出回り、みんなが彼を気持ちよく送り出したことになっている。「こんなに盛り上がったのか…」と僕も思わず目を疑った。

もちろん、その社員は影響力もある存在でみんなに慕われていたが、ここまで特別な扱いを受けている理由はよくわからなかった。退職者は毎年一定の数が発生してしまっているので、毎回毎回このような対応ができるわけがない。

その背景をこの前ようやく知ることができた。どうやら彼は今年任されていた仕事をうまく進めることができず、社長にこっぴどく叱られていたのだった。

それをきっかけに仕事に悩み始め、遂にはメンタルにも支障をきたすようになり、その時に逃げるように転職活動を始めていたらしい。その後、メンタルは回復してきていたが、転職活動は功を奏して内定を勝ち取ることができ、今回の退職になったのだという。

だから社長としては、その罪滅ぼしの気持ちが強く、こうして送別会にも足を運んで送りだしたらしい。もちろん退職されたあとに悪評価の口コミを書かれるかもしれず、そういったことを防止する意図もあったのかもしれない。

こういった背景を知りつつ、社内報に流れた同僚が笑顔で送別されている写真を見ると、何とも複雑な気持ちになった。彼はいわゆる「会社の飲み会」が苦手なタイプで、よく愚痴もこぼしていた。さぞかしめんどくさかっただろう。組織における飲み会というのは様々な思惑があるものなのだ。

そして、12月になると、忘年会のシーズンとなる。今まではコロナもあって飲み会の開催頻度は少なかったが、僕も今年は社内でもたくさん忘年会に誘われている。

多くは直属の上司経由で呼ばれている他の事業部との忘年会であり、シンプルな忘年会の意味合い以上に、今後の仕事を円滑に進める良い機会だという狙いがあるらしい。確かに普段顔をあわせる機会が少ない人と仲良くなっておくことで、これからの仕事で協力はしやすくなる。

「飲み会」には様々な思惑が潜んでいるものだということを再確認した。早くひとりでしみじみと飲める正月を迎えたい。

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