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会社員の不都合な真実|ベテランの本音

僕は今の会社に約6年勤めており、ベンチャー企業であるため6年もいるともはや古株の存在になっている。もともと仲良くしていた同僚や先輩、上司までもみんな既に退職してしまった。

これだけ続けていると、それなりの活躍もしているわけだから、愛社精神があるように思われていることがある。「正義感がありますね」とか「責任感が強いですね」と言われることもしばしばだ。

だが、残念ながら当の本人である僕からすると「責任感がないからこそ続いている」という不都合な真実を胸に抱いている。愛社精神に関してはこれっぽちもない。

給料が安かった新人の頃はこっそり副業をしていた。禁止はされていなかったが、本来は申請をする必要があったらしい。でもめんどくさいのでバレない方法を調べて実行していたのだ。

副業をしていたことにより、会社の安月給に頼る必要はなくなり、給料に関わる上司からの評価もそれ程気にせずに仕事に取り組むことができたことが良かった。もし副業をしていなかったら、上司に媚びた働き方をしていたのは間違いない。ちなみにその上司はもう退職している。

役職が上がってからは責任のある仕事が増え、心的負担も大きくなった。これらを耐え抜いていることが「責任感が強いですね」と言われる理由だと思う。同じ職位である同僚が既に2人ほど辞めてしまっている。

これを耐え抜いているのも「結局のところ会社員」と思っているからに過ぎない。失敗をしたところでせいぜいが減給か解雇になるだけだが、実際のところ減給されたことはないし、他の社員が辞めているのでむしろ自分の評価が高まってもいる。

そして普段あまりにも責任を押し付けられる日が続いていると、さすがに会社を嫌いになって辞めたくなる。そうすると、今度は怒られる度に「じゃあさっさと解雇してくれよ」と思うようになってくる。こっちは辞めたいと思っているのだから、解雇してくれたら会社都合の退職にもなるわけで、ウィンウィンの関係ではないか。

しかし一向にそんなことは言われないし、おそらく僕が退職希望を出したら色々と現場が荒れてめんどくさいことになるだろう。結局のところ働かせたいことが見えてきているので、ひとまずこのスタンスでもう少し雇用が継続できそうだと思っている。

以前、株式会社の起源は責任を分散させて社員がリスクを取りにいけるようにする仕組みにある、ということを別の投稿で書いた。会社に損失が出て損をするのは株主であり、損失を背負ってくれる。複数の株主が存在することで、株式市場と言う損を薄く広く分散させるためのシステムが出来上がり、ひとりあたりの責任は分散されることになるのだ。

株式会社の誕生以前のように、失敗をしたことによって、生涯に渡り家族まで借金が残ったり、切腹したりする必要がなくなっている。責任が有限(せいぜいが解雇)だからこそ、今の仕事も耐え抜いているわけだ。

一方で、会社のことが大好きでビジョンにも共感し、目をキラキラ輝かせながら会社のなかで自己実現を果たそうとしている社員ほど、どんどんと心を病んで辞めていっている。

僕だって本当はそういう風に働いてみたいものだが、現実はこの通りで、無責任な社員の方が生き残っているという不都合な真実が存在している。世の中を生き抜く方法というのは、非常に残酷で奥が深いと思う。

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