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リスクを取らざるリスク|結婚と仕事編

株式取引や資産運用について勉強していると、必ず出てくる考え方に「リスク」という言葉があります。リスクを取りに行ったものだけが、リターンを得ることができるという、シンプルな市場の原理です。

僕は投資家でも何でもなく、会社員として暮らしながら余った資金を株式に移しているくらいなのですが、とはいえ大切なお金なので過去に「リスク」について勉強をしていたことがあります。そして、「リスク」についての考えは、生きていくうえで非常に役立つものでした。

例えば100万円でA社の株式を購入した場合、それがそのまま取りにいったリスクになります。A社の株価が翌年に3%上昇した場合、100万円は103万円になり、3万円のリターンを得ることができます。

一方で株価は下落することもあるので、A社が倒産でもしたらその100万円は1円の価値もない、ただの紙切れとなった株券しか残りません。

こういった損失するリスクを抱えながら、100万円を支払うことを「リスクを取りに行く」といった意味合いで使います。しかし、一般の会社員にとって100万円といった金額は少し大き過ぎて、あまりリスクを取りに行きたくない気持ちが湧いてくるでしょう。

こういった時に用いられるリスクに対する考え方で「リスクを取らざるリスク」という言葉があります。リスクを取らないのに、それがリスクというのはどういうことでしょうか。

例えば100万円を現金で貯金をしていた場合、現金は株価の様に下落することはないため、ノーリスクのはずです。しかし、この様にリスクを取らない場合にも実は「リスクを取らざるリスク」が潜んでいる、という指摘がこの言葉です。

これは何かというと、もし日本経済がインフレになった時には、物の値段が上がるわけだから、100万円の価値そのものが目減りしてしまうということを意味します。100万円を持っている事実は変わらないけれど、値上がりによって100万円で買えるものは少なくなってしまうのです。

こうして考えると、リスクを取らないこともリスクになり得るということが、わかりやすく理解できます。

実は、この考え方を実生活に置き換えてみることもできます。個人的には耳が痛くなるほど当てはまることが多いです。

例えば、結婚にしても、相手を探してアプローチすることは一種のリスクテイクです。アプローチされた側も、それを受け容れるのは一種のリスクテイクで、お互いが「幸せな生活」というリターンを得るために、リスクを取って結婚までこぎつけるのです。

しかし、生涯を共にする(離婚するケースは考慮しない前提)相手を選ぶ時に、もし相性の悪い相手を選んでしまうリスクを考えると、なかなか果敢な気持ちでリスクテイクができない気持ちもわかります。慎重に慎重に相手を選ぶようになるわけです。

そうこうしているうちに、月日は流れ結婚するタイミングを逃してしまうケースは多いと思います。これはまさに「リスクを取らざるリスク」と言えるでしょう。

結婚だけでなく、仕事に関しても同じことが言えます。本当は転職したり独立したり、自分に合った働き方を思い描いてはいるけれども、今の慣れた職場で働き続けるリスクの少ない状況が心地よくなってしまい、長々と働き続けてしまう。

そうこうしている数年間に、転職や独立のチャンスがあったのかもしれません。

会社員は安定した給与が月々支払われるので、少ないリスクで生活を続けることができます。実はそこには「リスクを取らざるリスク」が潜んでいるのです。

いつもリスクヘッジのことばかり考えていましたが、やはり人生にはリスクテイクも必要なのだとあらためて感じました。月日はあっという間に流れていってしまうので、人生に後悔しないよう、適度にリスクテイクをしていきたいものです。

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