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仕事が終わらない|忙しい人生、仕事は残したまま

週末を前にして、やり切らなければならない仕事を全て終えておきたいという気持ちがあっても、なかなかそうはいかず、週末にも仕事のことを考えてしまう。誰もがそんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。

例えば、やるべき事をリスト化して、終えたタスクはチェックを付けてdoneとする。これらが全てチェックとなると、とても清々しい気分で週末を迎えられるはずです。

その状態にするべく、できるだけ早い段階からスケジュールを逆算して作業を続けていても、トラブルが発生したり、新たな仕事が舞い込んだり、結局のところやるべきことリストは消化されないまま週末を迎えてしまう、という現実を過ごしてしまう人も多いように思えます。

こうして平日から週末を続けて過ごしていると、年中ずっと仕事ばかりしている気になってきます。そして「仕事には終わりがあるのか?」と、気が遠くなってしまいます。

先日、ベストセラーとなっているビジネス書『ビジョナリー・カンパニーZERO』を読んでいたところ、この悩みを解決してくれる考え方が紹介されていました。本書の「仕事ではなく時間を管理する」というセクションで『Writer's Time』という書籍のある部分を引用しています。

あなたの仕事がうまくいけば、仕事はさらに増える。つまり「仕事を完了する」という概念そのものが甚だしい自己矛盾であり、誤った思考や習慣を助長してノイローゼを引き起こす危険がある。

『ビジョナリーカンパニーZERO』P.111/ジム・コリンズ

そして「生産的な人生を送っている人は、やりかけの仕事を抱えたまま死ぬだろう」と続けます。

そういえば、日本の古典的ビジネス書である『失敗の本質』にも、こんなことが書いてあります。

適応力のある組織は、環境を利用してたえず組織内に変異、緊張、危機感を発生させている。
(中略)
完全な均衡状態にあるということは、適応の最終状態であって組織の死を意味する。逆説的ではあるが、「適応は適応能力を締め出す」のである。

『失敗の本質-日本軍の組織論的研究-』(中公文庫)P.375

仕事を終えた状態を「適応」と置き換えればわかりやすいかもしれませんが、要は「仕事が終わらない」状態こそ価値があるのだということです。

つまり、やることリストを消化しきれないまま週末を迎えてしまったとしても、それは極めて生産的な一週間を過ごしていたという証拠でもあり、多少のモヤモヤよりも生産的でいられたその事実を、社会人として誇りに思った方が良いのだと思います。

「仕事を残したまま死ぬ忙しい人生」なんて、やり切れない思いになりそうですが、実際はそうではなく、それこそが生産的な仕事人だったということのようです。今週末も仕事を残したまま、やり切れない思いで仕事を終えたいと思います。

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