矛盾してる人|その方が人間らしい
何かのムック本で立ち読みしただけの記憶ですが、作品中では人類の争いをユーモラスに皮肉りながら平和へのメッセージを発信していたアメリカの作家カートヴォネガットが、実はその一方で軍需産業の株式を保有していたというにわかには信じられない話がありました。ちなみに本当かどうかはわかりません。
ヴォネガットが表と裏を使い分けていたと想像することもできますが、人は誰しも矛盾を抱えながら生きるものなのかもしれないと思った噂でした。
経済的利益や同盟国の権益によって平和を語りながらも、戦争や武力行使を自国の都合で選択する姿勢を見せる国家もしばしば見られます。これは矛盾とも言えますが、一般的にはダブルスタンダードと呼ばれます。
基本的に「矛盾している」時は、周囲からツッコミを食らってしまうことが多いです。弱みとなるケースが大半なので、自分の発言や考えが矛盾しないように情報を整理しておくことが大切です。
しかし、それは政治や経済、ビジネスにおける場面での話であって、そもそも人間は矛盾を抱えながら生きていることの方が多いのだと思います。ひとつの意見やメッセージを貫き通して生きていくのは難しいでしょう。
健康志向の高い自炊レシピを公開している料理家がマクドナルドの株式を大量に保有しているかもしれませんし、仕事のノウハウを伝えるビジネス書の著者が早期リタイアを果たして今は働かずに悠々自適な生活をしているかもしれません。
でも、これらはその人の自由であり、何も悪いことをしているわけではありません。内面的な考えを密かに持ちつつも、外側に自分の一面を出して活動しているだけです。
人間とは、人生とは、そういうものだと割り切ると、こういう人の方が人間らしくてむしろ親しみが持てる気がしてきます。
思えば社会の大半を構成する「会社員」も二面性を持って生きています。日中は会社員として自社の商品やサービスで利益を上げるように営業活動を続けますが、タイムカードで退勤を押した瞬間に会社員から消費者に変身します。
そのため、出勤中は笑顔で営業しながらも、心のなかでは消費者側の内面も持ち合わせていることを意味します。
人間の大半はこの様に矛盾している可能性を孕んでいるわけなので、例えば誰かに仕事で説教をされた時にも、その説教をした張本人はもしかしたら内面ではそんなことは思っていないかもしれません。「早く帰りてーな」と思いながら説教してる可能性だってあります。
だから、人間関係で何か辛いことを言われてしまった時にも、「まぁ人間は矛盾してる人ばかりだし」と思って、あまり真に受けずにいた方が気楽で良いんじゃないですか?
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