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【519球目】製造派遣業界のM&A

三陽工業はM&Aを通じて2つの社会問題を解決しようとしています。

1つは、事業承継者不足、もう1つは現場人材の不足です。こういうお話を度々することがあります。ですので、私達のM&Aのターゲットは中小製造業になります。とはいえ、HR事業も行っていますから、その業界のM&Aを行うこともありますし、アンテナも張っています。先日、身近な所でM&Aがありましたので今日はそのお話です。


4月20日

先週、4月20日にワールドHDが日本技術センターの全株式を取得したというプレスリリースが出されました。

https://world-hd.co.jp/app/wp-content/uploads/2023/04/Press20230420.pdf

ワールドHDは九州が発祥の派遣会社であり上場企業です。直近の有価証券報告書を拝見すると、売上高:1836億円、経常利益:89億円となっており、大手派遣会社に位置付けられます。有価証券報告書の記載をみるとプロダクツHR事業とサービスHR事業があり、サービスに関しては大手旅行代理店のJTBと共同出資で会社を持っています。製造・技術派遣とサービス派遣が柱になっていますね。製造とサービス。珍しい2本柱です。私が以前在籍をしていた派遣会社もその方向を目指していた時期がありました。今はあまり話を聞かないので本腰を入れていないのかもしれませんが。


日本技術センター

今回買収をされた会社は日本技術センターという会社です。

兵庫県姫路市に本社があり、様々なお取引先でお会いすることもあったので、身近な存在であるこの会社はファンドが出資している会社でした。上場企業からファンドが買い取り、今回また上場企業へ売却するというそんな流れになっています。プレスリリースにこの日本技術センターの業績が記載されています。

2022年3月期
純 資 産 1,308百万円
総 資 産 2,514百万円
売 上 高 6,772百万円
営 業 利 益 163百
経 常 利 益 168百万円
当 期 純 利 益 103百万円

三陽工業よりも少し規模感は小さいですが、それなりの存在感がある売上になっていますね。姫路市にあるということもあり、これからの変化にも注目したい所です。


買収価格

プレスリリースによると買収価格は未公表となっていますが、ワールドHDの純資産価格の15%を超過していると記載があるので、最低でも56億円以上の買収価格となります。純資産が1,308百万円、営業利益が163百万円の会社を56億円以上で買収となると非常に割高感を感じますが、そこは上場大手派遣会社の資金力ですね。もちろん、この会社を買収することのシナジー効果があると判断をしての意思決定だとは思いますが。とはいえ、非常に割高感を感じます。何か理由があるのでしょうか。とても興味が湧いてきます。


二極化の加速

製造派遣業界の市場規模、2.3兆円のうち、売上高5億円未満の会社が全体の87%を占めると言われています。

この形がきっとこれから崩れてきます。今回のM&Aの様に、資金力のある会社はドンドンM&Aを加速させていきます。外部環境が乱気流になると優勝劣敗、強い所はさらに強く、弱い所はさらに弱くなります。そういった動きがこれから製造派遣業界ではもっと加速していきそうです。大手製造派遣会社の動向を見ていると、定期的に売上高数十億程度の会社をM&Aして子会社しています。この動きは止まりません。そして、そういう会社と資金勝負では現状敵いません。なので、原則派遣会社のM&Aはやらない、そう決めています。やらない訳ではありませんね、積極的にやらない、が正しい表現かもしれません。三陽工業のM&Aの対象先はあくまでも、ものづくり企業です。事業承継者がいない、現場人材がいない、製造企業に対してM&Aを行ってきます。そして、社会問題を解決していく。考え方が全く異なります。ただ、業界の身近な所でのM&Aでしたので今日は紹介してみました。

本日もありがとうございました。
明日もよろしくお願いします。



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