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『何か1つでも好きなことを』下妻のシルバーアクセサリーショップの扉は、ロンドンに繋がっていた…?

シルバーアクセサリーブランドとして、多くのファンを抱えるAtelier Shima(アトリエシマ)
砂沼からほど近い住宅地に突如として現れるお店のことなど、嶋田さんにお聞きしました!


ーできるところは全部自分で


ーー嶋田さん、よろしくお願いします!

よろしくお願いします。

道を曲がればそこには…!お店の名前はGarage130(ガレージワンサーティ)

ーー下妻にこんな場所があるだなんて知りませんでした。

大通りにあるわけじゃないし、奥まっているから目立たないよね。

ーー本当に突如として異世界が現れる感じがして、ワクワクします!
まるで海外みたい…!

ロンドンの廃工場とか、路地みたいな場所をイメージしてるんだよ。ロンドンの街並みってかっこいいじゃん?(笑)

ーーレンガの壁とか黒い縦型の信号機、たしかにロンドンにありそう!再現度高くてかっこいいです…!
こちらのお店はいつ頃に始められたのでしょうか?

2015年くらいかな。自分で少しずつ倉庫を改装していて、ようやく今の状態。

ーー自分でって…この内装を自分で作ったってことですか…?

そうそう。もちろ大工さんにお願いしないといけないところもあるけど、完成図を作るのはもちろん、できるところは全部自分で作業してるよ。

ーーまさかDIYで作られただなんて思ってもみませんでした…完成度が高すぎる…

シルバーアクセサリーのお店なのに内装とかに時間かけちゃってて、本業がなんだかわからなくなっちゃうよね(笑)しかもまだ未完成だし。


ーーえ、未完成なんですか?何を作るのか聞いてもいいですか?

倉庫の中にカフェを作りたいと思っていて、それを進めてるところ。

ーーカフェ!いいですね!ここにカフェができたら居座ってしまいそうです。

今はお店しかないから、アクセサリーに興味がある人とかじゃないとなかなか来にくいと思うんだよね。でもカフェがあったら、近所の人も気軽に来れるかもしれないし、そういう場所にしたいと思って。

ーーたしかに、シルバーアクセサリーが目的じゃなくても遊びに来たくなりますね!

あとはちょっとした音楽イベントをしたりできたら楽しそうじゃない?昼間はカフェだけど、夜はお酒を出したりしたいなあ。

ーーこんな空間で音楽を聴きながらお酒を飲めたら、絶対楽しいと思います!完成が待ち遠しい…

夜にはこんな雰囲気に…本当に下妻…?

ー「今になって見ると下手くそだけど(笑)」

ーーすっかりカフェの話になってしまいましたが、シルバーアクセサリーの話もお聞きしたいです!
2015年にこちらのアトリエを始められたとのことでしたが、それ以前からアクセサリーを作っていたんですか?

そうだねぇ。学生の時からこういうのがかっこいいなって思ってたの。当時は集めるだけだったんだけどね。

ーー集めるだけだった学生時代から、作るようになっていったきっかけが気になります…!

その時代って海外のシルバーアクセサリーがすごく流行っていて、日本のメーカーはほとんど無かったんだよ。やっぱり海外のものだからなのか荒削りで無骨なものが多くて、これなら作れるんじゃないかと思って始めたのが最初かな。

ーー「これなら作れそう」って思っても、本当に作っちゃう人はそんなにいないと思います。

元々何かを作るのは好きだったし、とりあえず道具を揃えて作ってみたのよ。それが26歳の時だったかな。

ーー実際に作ってみていかがでしたか?

それが結構良くできてさ、当時の俺は「有名メーカーのよりかっこいいじゃん!」って思ってたよ。今になって改めて見ると下手くそなんだけどね(笑)
それでよく行っていたシルバーショップに持っていって見せたりして。結局その店のオリジナルブランドの原型師*をさせてもらえる事になって、しばらくお世話になってました。

*原型師:製品の元になる原型や、試作品など製作する職人。モデラーとも呼ばれる。


ミリ単位の細かい造形を手で掘っていきます


ーーいやいや…作り始めてすぐに原型師になれる時点ですごいです(笑)

その後に日本でシルバーアクセサリーを作る人、いわゆるインディーズブランドが増えてきたんだよ。その当時はお店のブランドの原型師だったから、自分のブランドでは無かったんだけど、やっぱり自分のブランドを持ちたいってことでアトリエシマを立ち上げたんだよね。

ーーこのお店を構える前からご自身のブランドで製作を行っていたんですか?

そうそう。当時はホームページが主流だったから、ホームページビルダーっていうので自分で作ったりして(笑)でも、ホームページの更新ってそんなに頻繁にできないから、毎日製作過程とかをブログにあげるようにしてたんだよ。

ーー自分でホームページまで!(お店もアクセサリーも、なんでも自分で作っちゃうんだ…!)

今はブログは盛んじゃないから、TwitterとかInstagramをメインでやってる感じかな。SNSだと海外の方からも反応して頂いたり、有名アーティストさんとやりとりできるしすごいよね。

ー”あの感じ”が好きだったんだよね

ーーシルバーアクセサリーについて全く無知なのですが…アトリエシマのシルバーアクセサリーはどのような種類のものになるのでしょうか?

うちのはバイカー(バイク乗り)とかロックミュージシャンがつけるようなジャンルで、有名どこだとクロムハーツとかね。

ーークロムハーツはかなり有名ですね!ロックミュージシャンがつけてたりするとかっこいんだよなあ…

ありがたいことに俺の作品を◯◯(超有名ミュージシャン…!)がつけてくれたりもするし、つい最近では大物レザーアーティストとコラボなんていう話もきていて、今ちょうどやりとりしているところなんだよ。

ーーちょっとびっくりしすぎて言葉が出ません…(笑)あの人がつけてるなんてすごすぎる…

ショーケースに並ぶ作品の数々。実物を見て欲しい…!


ーーアトリエシマのアクセサリーを見せていただきましたが、想像以上に造形が細かくて驚きました。

どうなんだろうね。細かければいいってもんじゃないのかなって最近は思ってるんだよ。

ーーえ、そうなんですか…?技術のアピールにもなるような気がするんですが…

もちろん職人のアピールにはなるかもしれないけど「凝って造形を細かくすればかっこよくなる」ってことは無いと思うんだよね。マニアの人はあれもこれもてんこ盛りになったものを欲しがったりするんだけど、そういうのって一般の人はつけたがらないじゃん?(笑)

ーー普段あまりつけない人は、シンプルな方がとっつきやすいかもしれません。

だからあんまり盛り盛りのやつより、シンプルでかっこいいものの方がいいのかなって思うようになったね。例えばスカル(骸骨)のデザインでも、スタンダードな方が飽きがこなくていいのかなって。

ーースタンダードって間違いない安定感があります!

そうだね。でもそういうのってインパクトは弱いからさ、あんまり目を惹かないっていう難しさもあるんだよ。

ーーそうか、派手にしたら特徴がわかりやすくなるもんなあ…ジレンマだ…

でも、お店に来た人が普段から身につけるものとして気に入って買ってくれたらそれが一番嬉しいかな。たくさん売れても嬉しいけど、その後にヤフオクとかで出品されてたら少し悲しいじゃない(笑)

ふるさと納税のためにデザインされた、落ち着いたデザインの指輪


ーーシルバーは長く身につけられるからこそ、手放したくないと思ってくれていたらいいですね!

あとはやっぱり好みだよね。アクセサリーを作り始めた時は「これなら作れる」なんて思っていたけど、あの作れてしまいそうな無骨で荒削りなところとか、遠目から見てもシルバーの重厚感が伝わる大ぶりなところとか、”あの感じ”が好きだったんだろうね。だからシンプルなものに惹かれるんだと思う。

ーーアクセサリーが作り始める前から好きだったものだからこそ、”アトリエシマらしさ”のブレない芯になっているのかもしれませんね。

ー何か1つでも好きなことを


ーーところで、これだけ細かい造形のシルバーアクセサリーって作るのにすごく時間がかかりそうですよね…

どうなんだろう(笑)俺はロストワックス製法ってので作るんだけど、一番初めにワックスの塊を削り出して原型(銀を流し込形作るための型)を作っていくのね。それがある程度の形になるのは早いね、1日くらい。

ーー慣れているからこそのスピードなんでしょうけど、思ってたより早かった(笑)

でもそこから細かい調整があるから終わらないけどね(笑)
ガッと一気に作ると客観的に見れてないことが多いから、あえて時間を置いたり…調子がいいと1週間くらいで原型が作れるけど、それで早い方かな。


ーー1週間で早い方なんですね…!こだわり始めたら止まらなそう…

気になるところがあるとどうしてもね(笑)
うちで作ってるものは造形が一番大事だから、そこで適当なことはできないんだよ。


ーー商品を見ていても、造形に気持ちが乗っているのがひしひしと伝わってきます!

でも苦手だったり、気分が乗らなかったりすると全然進まないよ(笑)
気分屋だからさ(笑)


ーー嶋田さんでも気分が乗らないアクセサリーとかあるんですね!(笑)

あるある。持ち込みのオリジナルデザインとかで、アトリエシマっぽく無いものをお願いされることもあるし。そういうのはなるべく断るようにしてるんだけどね。あとは作り始めたはいいものの途中で飽きたやつとか(笑)

バイク雑誌の撮影会やミュージシャンのMV撮影に使われることもあるそう


ーーオーダーだとしてもあくまでアトリエシマの作品なので、そこは譲れないポイントだと思います。

店を大きくしようとかそういう気もあんまりなくて、何か1つでも好きなことを一貫して続けていきたいと思ってるんだよ。だからやりたいと思ったことをどんどんやっていきたいかな。

ーー全部自分で作って実現してしまう原動力はそこにあるんですね!

プロってある程度なんでもできたりするんだけど、俺はそうじゃなくて「これしかできないけど、これのことは誰にも負けない」っていう風でいたいんだよね。そしたら、それいいねって共感できる人が集まってきて、楽しいんじゃないかなって。

ーー今作っているカフェも、そんな人たちが集まる場所になるのかもしれませんね!
本当に完成が楽しみです!

嶋田さん、ありがとうございました!


◯Garage One-thirty(ガレージワンサーティー)
◯Atelier Shima(アトリエシマ )
〒304-0056 茨城県下妻市長塚130
☎︎0296-48-7775
営業日:毎週日曜日(他の曜日に訪問の場合は、SNSなどで事前にご相談ください)
Twitter:https://twitter.com/ateliershima
Instagram:https://www.instagram.com/ateliershima/


取材執筆・編集・写真:宮澤
取材月:2021.12

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