『歌が貴重な経験を連れてきてくれました』水道業の2代目は、歌番組のチャンピオン!?
下妻市内で長年にわたって水道業に従事し、地域のインフラを支えてきた有限会社山本機械。
今回は代表の山本重行さんに、ご自身のモチベーションについて語っていただきました!
―家業を継ぐのは「当たり前」だと思っていた
―山本さん、よろしくお願いします!
よろしくお願いします。
―さっそくなんですが、山本さんはどうして水道業を始められたんですか?
実はこの会社は、私の父が立ち上げたんです。
―そうだったんですね!
それで21歳のときに継いだから、かれこれ30年以上この仕事をしていますね。
―とても若いときに継がれたんですね!何かきっかけはあったんでしょうか?
特に大きなきっかけはなくて(笑)。私たちの世代で自営業の家に生まれた長男って、大半は「将来は家業を継ぐんだろうな」と、何となく考えながら育ってきたと思うんです。
―ご両親からは「継いでほしい」とは言われなかったんですか?
直接は言われませんでしたね。それに私も「親に言われたから」とか「仕方なく」とか後ろ向きな思考ではなく、ちゃんと自分の意志で継ぐことは決めていました。
―学校を卒業してすぐに家業を手伝うようになったんですか?
いえいえ。「家業を継いだら二度と下妻から出られないだろうな」と感じていたので、一度は外の世界で何かしらの経験は積みたいと思っていたんです。
―たしかに下妻から出るのは難しくなりそうです…!
だから高校卒業後は東京の専門学校に通って、そのまま都内にある水道業の会社に就職して1年ほど働いていました。
―上京していた時期があったんですね!
あるとき、母親から「お父さんがすごく大きな案件を受注した」と電話があって。
当時は携帯電話は普及していなくて、めったなことでは母から連絡なんて来なかったから「余程人手が必要な状況なんだ」と察して。
―それで下妻に戻ってきて事業を継承したんですね。プレッシャーはなかったんですか?
めちゃくちゃありました(笑)。ただ、父から「チャレンジした結果、会社がなくなったとしても、元に戻るだけだから大丈夫だよ」と言ってもらえて、少し気が楽にはなりましたね。
―お父さんの言葉、かっこいいですね…!
あと、同じ仕事を東京でもしていたので、その経験は大いに役立ったと思っています。
―言い争いは成長の証!(笑)
―仕事のやり方はお父さんを参考にされたんですか?
最初の頃は父の言うとおりにやっていたんですよ。でも、働いているうちにだんだんと「自分はこう思うのに」という意見が出るようになってきて。それからは、いい意味でよく言い合いをしましたね(笑)。
―山本さんが成長したことで、見えてものがあったんですね!
そうだと思いますね。最近になって周りの知り合いからも「事業を任せた子どもと口論になる」といった話を聞くことはあるんですが、それはむしろ子ども自身が成長して、自分のやりたいことが見えてきたということなんです。
―そこは親としてはポジティブに捉えるべきなんですね。ちなみに、お子さんに事業を継いでほしいという想いはあるんですか?
それは考えていないです。今は自分が好きなことをして生きていく時代だと思いますし、子どもにはそういうスタンスで生きていってほしいですね。それに、「言われたから継いだ」という姿勢では長続きしませんし、壁にぶつかったときに乗り越えられないと思うんですよ。
―なるほど!山本さんもたくさん壁にぶつかってきたと思うんですが、どのようにして乗り越えてきたんですか?
昔はお酒やお祭りが好きだったので、そうしたものでストレスを発散しながら乗り越えてきましたね。
―ストレス発散は大事ですよね。
でも最近はめっきりお酒を飲まなくなりましたし、コロナで祭りもしばらくなかったので…。ただ、小さい頃からずっと歌を歌うのが好きだったので、それが毎日のモチベーションになっていましたね。
―歌番組でチャンピオンに!
―そういえば別の方を取材しているときに、「山本さんは歌が上手だよ!」という話は伺っていました。
バンドを組んでいた時期もあったんですよ。それであるとき、友だちが僕に黙って歌の大会に応募したことがあって。いきなり「予選通過しましたよ」っていう連絡が来て。いったい何のことだと思いましたね(笑)。
―なるほど(笑)。それはどんな大会だったんですか?
全国放送されている長寿番組で、誰でも一度は聞いたことがあるような有名なヤツです(笑)。毎週、47都道府県の会場を回りながら開催されるんですが、ちょうどそのときは大洗での開催で。ただ、せっかく予選を通過したのに本番でちょっと失敗しちゃって。
―それは悔しいですね…!
「なんとかリベンジしたい!」と機を伺っていたところ、今度は下妻で開催されることが決定して、迷わず応募しましたね。そしたら、なんとその大会でチャンピオンに選ばれたんです。
―チャンピオン!すごいです!!
地元開催の大会でチャンピオンになったものですから、翌日から反響がすごくて。いろんな人から「あの大会でチャンピオンになったんですよね」って声をかけられるようになりました(笑)。
―みなさん番組をチェックされてたんですね!
仕事で営業する際にも役に立ちましたね。はじめて会う人でも、その話から入るとみんなが覚えてくれるので(笑)。
―たしかに、めちゃくちゃインパクトが強いですね(笑)。
その後、全国のチャンピオンが一堂に介して競い合う「チャンピオン大会」にも呼ばれまして。
―おお、すごい…!
誰もが知っているような有名人や、現在プロとして活躍されているような方と同じ舞台に立てたので、すごくいい経験をさせてもらいました。また、音響やメイクもプロの方々が担当されていたので、本当に夢のような舞台でしたね。
―とてもいい思い出ですね…!今でもチャレンジは続けているんですか?
それ以降も何度も応募しているんですが、なかなか優勝できなくて…。簡単なことではないかもしれませんが、なんとかもう一度あの舞台に立ってみたいですね。
―歌からご縁が広がった
―優勝したことで、何かご自身の中に変化はありましたか?
自分が変わったわけではないんですが、人とのご縁が増えたように思います。
―たしかに増えそうですね…!
たとえば茨城県のチャンピオンだけが所属している会があるんですが、そこに声をかけてもらって加入させてもらいました。また、別のチャンピオンの方がたまたま商工会議所の関係者で、今でも年賀状のやりとりが続いています。
―歌を通じて人とつながるってステキです…!ちなみに、歌以外の趣味は何かあるんですか?
それがぜんぜんなくて(笑)。新しい趣味を見つけようと、これまでいろいろ挑戦してきたんですが、なかなか長続きしないのが悩みどころですね。
―たとえばどんなことをされてきたんですか?
20代の頃に本気で取り組もうとしてのがスキーでした。ただ、日曜日しか休みがなかったので、結局続きませんでしたね。あとは釣りやバイクも挑戦したんですが、一人でやってもつまらなくて辞めてしまいました(笑)。
―誰かと過ごす時間のほうが向いているんですかね?
そうですね。たとえば歌でもスナックで歌うと、みんなが注目してくれる。そういうところから知り合いが生まれることもありました。「自分にとって自信のあるパフォーマンスを見てもらいたい!」という気持ちあるから、誰かといる時間のほうが楽しいと感じるのかもしれません。
―歌を通じて自己表現をしてきたと言えるかもしれませんね!
そうですね!歌は大切にしながら、それ以外の趣味を見つけることが当面の目標ですね。
―歌も、新しい趣味も、応援しています!本日はありがとうございました!
◯せき書店
〒304-0067 茨城県下妻市下妻乙170
☎0296-44-2846
取材・執筆:岡澤修平
撮影:宮澤優輝
取材月:2022.10
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