私は、結婚がしたかった。
10000回だめで 望みなくなっても
10001回目は 来る
ドリカムの「何度でも」
この歌詞に何度励ましてもらっただろう。
私は、結婚がしたかった。
20代のうちに子供を産んで、家族を持ちたかった。
でも、それはなかなか叶わなかった。周りの友人が、ぱたぱたと大学時代からの彼氏や、合コンで知り合った彼氏と結婚を決めていく中、私の恋愛は結婚につながらなかった。
でも、あきらめたくなかった。
20代後半のエナジーを、いわゆる「婚活」に全力で投入した。
・ 合コン
・ 紹介
・ ネット婚活
・ 婚活パーティー
・ おやおやお見合い(子供を結婚させたい親の集団お見合い)
婚活用写真は、本気の写真館で撮った。
壁に手を付け、首をかしげて、にっこり笑顔。背景には白いレンガの壁と観葉植物。パステルイエローのカーディガンを着た自分の婚活用写真は、今思うと全然自分らしくなかった。
今の私のクローゼットには、パステルカラーの服なんて1枚もない。
自分のこともよくわかっていなかったし、
自分がどんな人と人生を歩みたいのかも、よくわかっていなかった。
合コンでいいなと思った人は、友人のことが好きだったり。
付き合って3ヶ月、ウキウキの絶頂でフラれて、ズタボロ雑巾になったり。
相手をひどく傷つける別れ方をしてしまったり。
散々もがいてあがいて、もう私には無理かもしれないと、何度も泣いていた。ただ、その間、ずっと書き続けたものがある。
「理想のパートナーの条件リスト」だ。
当時、恋愛自己啓発本も読み漁っていた私は、このリストを書けばピッタリの人が現れる、という手法を実践していた。
書き出すと、不思議なくらい、そのとおりの人が目の前に現れるのだ。
あとで調べると、心理学的に、意識するとそれが目に飛び込んでくるようになる「カラーバス効果」というものがあるらしい。理屈としても納得だ。
とはいえ、そうして現れた理想の人とお付き合いできても、うまくいかない。
毎回、「こう書いてたけど、もっとこっちのほうが私にとっては大事なことだった」ということが発見され、リストは書き直されていった。
5年以上かけて、何度も書き直された末に、やっと出会ったのが、夫だ。
いや、正確には、結構近くにいたのだが、ようやく気づいた、といったほうがよい。同じ職場で2年以上一緒に働いていたのに、気づいていなかったのだ。
理想のパートナーリストの書き直しで、何が変わったのか?
それは、「相手がどういう人か」ということよりも、「相手と一緒にいることが、私にとってどうか」ということを重視するようになったことだった。
相手がかっこいいかどうかより、
私がなんでも腹を割って話せるか、のほうが大事だ。
相手の収入が高いかどうかより、
私が仕事をがんばることを、応援してくれるかどうかのほうが大事だ。
それに気づいて理想のパートナーリストを更新したとき、ごく近くに、ぴったりの人がいたことに、気づいた。
ちゃんと、10001回目は来た。10001回目より早く。
今年で結婚5年目になる。
夫との生活は、一人暮らしのときよりも、
よく笑うようになり、よく歌うようになり、
うるさくて近所迷惑にならないかと窓を閉めるくらいには、楽しい。
先が見えなくても、前に向かって進んでいたら、来るときは、来る。
いつ来るかは、わからない。突然、来るのだ。
トンネルの終わりが。
今もまた別の、先の見えない不安の中にいる。
いつかトンネルを抜けられる日まで、もがきつづけよう。
10001回目は来るから。
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