
70's Rockコンサート 紫と日高富明さんの事 1976
江東区深川を歩いていた時の事、とある公園の広場の端に、古ぼけた小さな舞台の様なレンガ造りの構造物が見えた。説明文を読むと戦前からあるらしい。大小様々なれど公園で野外音楽堂を見つけることは多い、しかしこの公園は、もう誰も立つことはない寂しさを感じさせ、そして何となく思い出した日比谷野外音楽堂でのロックイベント メイストリーム1976年5月16日。
東京に出てきて1ヶ月半、最初の経験かもしれないコンサート。日比谷野音は前年のキャロル解散コンサートの映像を見て一度は行ってみたかった。沖縄のハードロックバンド紫が出るという情報を何かで知った私は、一人(いつものように)で見に行くことにした。紫といえば名前が示す通り上手すぎるディープ・パープル「ハイウェイスター」のコピーで知られ、デビューアルバムが発売されたばかりにもかかわらず、すでに有名になっていた。たぶん、トリで演奏した彼らは素晴らしく満席近い観客は総立ちで盛り上がった。いやトリは安全バンドだったか?記憶は曖昧な。
このイベントの前半に登場したのが、ガロ(大ヒット「学生街の喫茶店」が有名)を解散したばかりの日高富明率いるトミー&ファイヤー。この頃のフォークソングファンにガロというグループはテレビによく出る芸能界好きなナンパイメージを持たれていた。なおさらロック好き頑固な連中(私を含め)からはまったく関心を持たれていなかったから、元ガロと紹介され「どうしてここに彼がいるの?」的な白けた雰囲気が漂う中、演奏を始めた。(ファンの女性が何人か来ていた) 彼らが出すサウンドは硬質な締まったロックで「意外と上手いね」という声が後ろでした。衣装は派手でその日出た他のバントに比べたら異質ではあった。私は日高さんのギターの上手さに感心。ステージの真ん中で演奏させてもらえたのではなく、向かってやや左という私の目の前だったからかもしれないが、ロックしてる波動が伝わってきていたし、クラプトンみたいな感じもあった。
実はガロというグループは日本のCS&Nとも言われ、演奏もハーモニーも上手くて本質は優れたポップフォークグループなんだという人もいた。ウエストコーストっぽいアレンジの曲もあった。当時のウエストコーストサウンドといえば急に関係ない浜田省吾がいた愛奴を思い出したり、「二人の夏」ね。上のyoutubeなんかザ・バンドのラストワルツに出てきても不思議ではないと思った。
日高さんは、1986年9月20日36歳という若さで亡くなった。死因ははっきりしていない。だから今日は命日、そして生まれは深川。見えない力が今この文章を書かせたのかもしれない。(投稿は1日遅れて) 私は紫もガロも日高さんのも含め1枚もレコードは買ったことはない。でも何かこの時の日比谷野音はひっかかる所があるのだと思う。日高さんの事を後で調べてみたら、少年時代からギターフリークで演奏も上手く有名な方だった。本格的なロックバントを目指していたのに、運命のイタズラで思いとは違う売れ方をしてしまい、この世からも居なくなってしまった。ロッカーがアイドル的に売り出される時代の始まりでもあった。