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イチロー殿堂入りと満場一致のパラドックス:1票足りなかった理由とは?
満場一致で評価されることは、誰にとっても最高の賛辞と見られるかもしれませんが、それは本当に正しいのでしょうか?
現在の子供たちの多くが憧れる存在は「大谷翔平選手」かもしれませんが、私の世代だと「イチロー選手」でした。
アメリカ野球殿堂入りを果たした彼の得票率は脅威の99.746%。
ただ、満票ではなかった――あと1票だけ足りませんでした。
ネット上では、投票しなかった記者への批判も見られますが、私は少し違う視点で考えました。
人それぞれに異なる視点があるのは当然のことであり、この結果が「イチロー選手への高い評価」を改めて浮き彫りにしたのではないでしょうか。
この1票をなぜ最高の評価と解釈するのかについて、満場一致のパラドックス(全員が同じ結論になる不自然さ)という視点から深掘りしていきます。
■イチロー選手の成績
【注目記録】
日米通算4367安打(ギネス記録)、MLBシーズン最多安打記録(262安打)、10年連続200本安打など、複数の不滅の記録を保持しています。
■満場一致の殿堂入りはどれほど難しいのか?
殿堂入りした351人の選手の中で、満票を獲得したのはマリアノ・リベラ選手ただ1人です。
この事実は、満票での選出がいかに困難であるかを物語っています。
大谷翔平選手の活躍で注目された「野球の神様」と称されているベーブ・ルースも「得票率95.1%」で満票選出ではありませんでした。
殿堂入り投票では、現役時代の成績やプレースタイルだけでなく、投票者の視点や多様性も大きく影響することが考えられます。
このことを考えるうえで参考になるのが「満場一致のパラドックス」と呼ばれている考え方です。
■満場一致のパラドクッスとは?
これは、全員が同じ結論に達することが、一見良さそうに思えても実は不自然さを伴う場合があるという考え方です。
この点について、るーいのゆっくり科学さんの動画がとても分かりやすい解説されています。
以下に、その動画の主なポイントを簡潔にまとめてみました。
満場一致は信頼性を保証しない
意見が全員一致する状況では、一見正しいように見えても、先入観や誤解による可能性を疑う必要がある先入観や誤差が意見を偏らせる
先入観や測定ミスにより、全員の意見が一致することがある一方で、正確性を欠く原因となる同調圧力やシステムエラーに注意
「意見の一致」が投票方法などのシステム上の問題や同調圧力が原因である可能性もあり、結果の背景を慎重に検証する必要がある
■「人の基準で決める結果」が完全に偏るのは不自然
投票制の結果において、以下の3つの理由が投票結果に反映されがちです。
人それぞれの違った見方があるのは当然:投票者ごとの価値観や基準が異なるため、結果が分かれるのは自然なことである
全員が賛成ならあえて反対したくなる心理:「集団での同調を避けたい」という心理が働く場合がある
完璧な評価に逆らいたくなる気持ち:圧倒的な評価に対し、あえて反発する心理も投票結果に影響する
たとえば、イチローの安打記録においても、評価する際の判断基準はさまざまです。
MLB単体で見た場合の通算安打数は歴代22位(3089本)に対して、歴代1位のピート・ローズが4256安打放っているにもかかわらず殿堂入りしていない。
イチロー以上のMLB通算安打数を持つ選手で殿堂入りしていないはのピート・ローズとアレックス・ロドリゲス(3115本)の2名
それぞれ野球賭博問題と薬物使用が投票の判断材料となった。
裏返せばこれらは、「記録以外の要素も評価に影響を与える」という一例
このように、意見や対立の多くは、評価基準や価値観の違いがきっかけで起こることが多く、この心理は誰しも起こり得ます。
イチロー選手の評価においても、安打記録をどう捉えるかで判断が分かれるのは自然な話と言えます。
また、その意見を「投票で主張できる」のであれば、良し悪しは別として「その仕組みを利用する人」がいるのもまた、自然な話でしょう。
■イチロー自身の言葉:「不完全だからこそ進める」
このテーマを象徴するのが、イチロー本人が殿堂入りについて語った言葉です。
1票足りないというのはすごくよかったと思います。
(中略)
やっぱり不完全であるというのはいいなと。
生きていくうえで不完全だから進もうとできるわけで。
そういうことを改めて考えさせられるというか、見つめ合えるというか、そこに向き合えるのはよかったなと思います。
自らの「不完全さ」を受け入れ、人生の教訓として生かす姿勢が伺えました。
■終わりに 1票だけ足りないってのは最大の賛辞
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残念ならが満票まで1票届かなかったものの、得票率は99.746%――改めて、あなたはとう思いますか?
私はイチロー選手の偉大さを再認識されたことに「嬉しい」という感情が大きいです。
世間では、投票しなかった人のあら捜しをしていますが、素直に「イチロー選手、おめでとうございます!」という賛辞だだけで十分だと思います。
誰が投票しなかったのかという犯人捜しをするよりも、純粋にイチロー選手の偉業を称えることに目を向けてもよいと感じます。
(期待値が高かっただけに、モヤッと感が残ってしまうのは仕方がないことではありますが――)
■コラム:イチローに投票しなかった記者の失敗理由
この記者だけが投票をイチローに入れなかったことで、責任追及されそうな立場に置かれてしまっています。
この記者の失敗は、「個性の出し方の誤解」ではないかと考えます。
個性や個人といったキーワードをよく聞きますが、「個性を発揮すること」と「何でも自分勝手に判断すること」は全く違う話です。
個性の発揮には「客観的な視点で物事を見ること」と「何事も自己責任であることを受け入れること」が重要だと考えます。
たしかに、個性を出すことは非常に大事ではありますが、この世界はあなたを中心に回ってはいないことを客観的に見る必要があります。
何でも自分目線で判断することは、世間と一致しない行動であり、それ自体が大きなリスクです。
この記事を見ているあなたが、「客観的な視点」を大事にし、自分の意見を持ちながらも柔軟な考え方を心がけられることを願っています。
■このnoteについて
noteでの執筆活動をしばらく休止していましたが、本日から執筆活動に復帰しました。
このnoteでは、入ってきた時事ネタをメインに取り上げ、中立性を重視しながら、『これからの社会を生きるための考え方』を執筆者(さんとー)の経験をもとに発信して参ります。
それに伴い、以前まで投稿していた記事の9割以上を削除したことをお詫び申し上げます。
毎週金曜日の20時に投稿予定です。(次回予定日:1月31日)
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