あの頃に見た満月
暑くなったと思いきや寒くなる。
そういう季節の変わり目に振り回されるのはまっぴらごめんなので、いつも夏を基準にしている。
春から夏に変わるときはいち早く夏の服に衣替え。
夏から秋になるときはなるべく薄手。
というのも昔から暑がりだし、あまり着こんでも汗をかいて汗臭くなるのが関の山だからだ。
そんな与太はさておき、
最近、とても月が綺麗だったのでお月さんのお話。
フルムーン!
ゲストハウスの外で電子タバコを吸ってたら、
今日はやたらと明るいなと。
ふと、空を見上げると眩しいくらいに光る満月だった。
これを僕一人で独占するのも罪悪感を感じたので、同じゲストハウスに住むフランス人とアルゼンティーナに
フルムーン!
と叫ぶと一緒に月見をした。
僕は外国人と月を見るとどうしても話してしまいたい話がある。
それは、お月さまを見るとうさぎさんが餅つきをしてるみたい
という日本では子供でも知っている話。
その国によって見え方は違うとかなんとか。
そんな話をしていたら中国とカンボジアにいたころを思い出した。
月が綺麗ですね。
中国にいたころ、友達とたばこを吸っていた時も同じだった。
部屋の窓際で他愛もない話をしていた時だった。
今日はやたらと明るいなと思い、ふと、窓の外を見ると、見とれてしまうほどの明るく美しい月だった。
今、自分は中国にいて、全く知らない異国の地にいて、こんな綺麗な満月を拝めるなんて幸せもんや、と思ったことを鮮明に思い出す。
その日は、中国人のバディさんとお別れの日だった。
そんなもんだで名残惜しく感じていた私は、
今日は月が綺麗ですねー。
と写真と共に送信した。
そしたら、
そうなんだ。こっちは曇ってて見えんけど。
とあっさりとした返事が返ってきた。
2週間、一緒にいたのだからもうちょっと気の利いた返信があってもよさそうなのに、と思いつつも、そんなざっくばらんな感じも嫌いではなかった。
お月さんを独り占めにしながら、そんなことをぽつりと思っていた。
パブの街
カンボジアに行ったとき、パブ街を観光していた。
それはカンボジア滞在の最終日だった。
中国人のゲツという子と他愛もない話をしていたのだけれども、
疲れて道端にへたれこんだ時に見上げたら、これまた綺麗な満月だった。
そう思えば、と
日本から見えるお月さんの話をした。
たまたま名前も、月だねー。
そんな他愛もない会話。
フランス人もアルゼンティーナもいつの間にかゲストハウスの中に帰ってしまっていた。
今から思えば、
中国では月を見てどんな事を思い描くのだろう
スマホで調べればわかることかもしれないけれど、
なんとなく電子タバコをふかし続けた。