【経理業務紹介】月次決算は何のためにやる?
経理業務の主なものの1つとして、月次決算業務があります。
月次決算の中を分解すると、例えば、「仕訳入力」や「売掛金・買掛金管理」といった業務がありますが、これらの個別の業務を紹介する前に、まずは、月次決算は何のためにやっているのか?ということについて、私の理解を共有させていただきます。
[1]月次決算は何のためにやっているのか
目的:事業が計画通り進んでいるかの確認
そもそも、月次決算は、会社が会社のために行っているものです。
月次決算で作成した書類をもとに、経営陣をはじめとして、これを見た関係者がそれぞれに重要な判断を下していきます。
そのため、一定の精度を保ちつつ、かつ、適切なタイミングで報告することが大事です。
[2]月次決算で作成する書類
月次決算を行って作成する書類は、以下のような書類になります。
※主なものをご紹介します。
〇試算表
〇資金繰り表
〇予実管理表
〇月次レポート
各書類の紹介
経理プラスさんの記事を引用させていただきながら、月次決算で作成する書類の内容をご紹介いたします。
試算表
試算表とは、
試算表は、決算書の作成前の途中の段階で、現在の業績を確認するための集計表です。決算書は会社の1年間の業績を集計したものですが、1ヶ月分、3ヶ月分、半年分など年度の途中で集計します。一般的には1ヶ月ごとに集計したものが月次表ですが、月次試算表ともいいます。
引用(経理プラス)
https://keiriplus.jp/tips/shisanhyo/
試算表はその月の状況を表したものですが、
会社の状況を分析するには、「月次推移表」という、月次試算表を月ごとに並べたような表を作成するのが良いと思います。
資金繰り表
資金繰り表とは、
資金繰り表とは事業活動により発生する入金や出金の金額、時期を表している管理帳票です。いつ、どのくらいの入出金があるかを明らかにすることで、資金不足に陥る時期や金額を把握することを目的とします。
引用(経理プラス)
https://keiriplus.jp/tips/shikinguri/
資金繰り表を作成することは、実は、試算表よりも重要かもしれません。
理由としては、会社が資金不足になる=倒産するのは、お金(現金や預金)の管理ができているかどうかに直結しているからです。
「お金が足りなくて支払いができない」という状況をどれだけ早く察知できるか。そして、どうやって回避するのか。を、考えるベースとなる表です。
予実管理表
予実管理とは、
予実管理とは、「予算」という目標値に対して実際の「実績」を比較しながら管理するものです。予実管理ですぐにイメージできるものといえば「売上」ではないでしょうか。前年度の実績などをもとに作成した本年度の「予算」に対して「実績」はどうだったのか、その差異を可視化することができます。
引用(経理プラス)
https://keiriplus.jp/tips/yojitsukanri-kihon/
予実管理表は、会社として作成した予算の表に、経理で集計した実績を合わせて、比較できるようにした表です。
月次レポート
月次レポートは、試算表、資金繰り表、予実管理表などの情報をもとに、会社の状況を説明した資料のことです。
それぞれの資料はすべて数字で表示されているので、これを文章に変換して、経営陣などに報告します。
内容は、最低でも『当月の売上と利益の状況』そして『今のままで良いのか、悪いのか』をまとめるとよいと考えます。ただし、報告先によって注目するポイントも変わりますし、どこまでオープンにするかについても、事前に決めておく必要があるでしょう。
[3]誰に報告するのか
1)経営陣、各部管理者、全従業員
報告の範囲は会社によって変わりますが、方針としては、全社員に対して報告し、状況を認識してもらうことが大切だと思います。
理由は、
①自分の会社の状況を知ることができるため(知るきっかけとするため)
②経営陣や管理者の言うことの背景がわかるため
③自分自身で改善するときのヒントとするため
順に説明します。
①は、自分のやっていることについて、そのまま継続で良いのか、改善が必要なのか、の確認ができるということです。
②は、経営陣や管理者からの指示を受けたときに「なぜそのような指示をしたのか」の理解がしやすいためです。ざっくりと言えば、現状が良ければ=今の行動を継続、現状が悪ければ=何かしらの改善が必要。そして、管理者が改善策を立案し、各担当者に指示を出す。というような動きを求められます。この時、どういう指示が来そうなのかを事前に想定することができます(想定の度合いは報告内容の細かさにもよりますが)
③は、一歩踏み込んだ話ですが、現状を知ったうえで、自分に何ができそうかのヒントになります。
例えば、売上が不足している、という現状を知った場合、「どうすれば売上を増やすことができるのか」という思考につなげることができます。ただし、各担当者がそれぞれ独断で改善をしてしまうと、かえって全体のパフォーマンスが下がる可能性もありますので、管理者と相談して、改善策を実行するとよいと思います。
2)金融機関
金融機関に対しては、融資を受ける際やすでに受けている場合についても、直近の試算表や資金繰り表などの提出を求められることがあるため、報告対象としておくとよいです。
提出を求められる主な資料は、
①月次の試算表(単月の状況および累計の状況)
②資金繰り表(翌月以降の見通しのあるもの)
③借入の一覧 があります。
金融機関によっては、積極的に月次決算を求めないところもありますが、月次でコミュニケーションを取っておくと接点が増え、相談しやすい状態になると思います。
また、月次決算をしているかどうかは、会社がお金の管理ができているかどうかを想像されることにつながります。お金の管理ができていなければ、「貸したお金が約束通り返済されないのでは?」という疑問を持たれますので、そういう意味でも、月次決算をしておくに越したことはないと思います。
まとめ
月次決算を行っている企業はたくさんあると思いますが、経理担当者として、月次決算を行っている目的を理解できている人は意外と少ない印象です。「何のために月次決算を行っているのか」を社内で共有することができれば、動きや考え方も変えることができると思いますので、参考にしていただければ幸いです。
ここまで、お読みいただきありがとうございました。
次回からは、月次決算を深堀していこうと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。