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前に進めなくなったら『プラダを着た悪魔』を観る

大学一年生の頃、英語の授業の一環で『プラダを着た悪魔』を初めて観た。
ハイブランドを身にまとったアンハサウェイが可愛すぎて一瞬で虜になったし、知らないブランドがこの世には沢山あると知り、インスタで片っ端からハイブランドの公式アカウントをフォローしまくった。
映画を通して、ファッション業界の殺伐としていて、でもキラキラとした世界観に心を鷲掴みされた。
ただ、当時の感想は良くも悪くもそれだけ。
アンハサウェイ可愛い、ハイブランドって誰も寄せ付けないお洒落さがある、ファッション業界って憧れる…!

その後、私は映画にドハマりするサブカル大学生まっしぐらになるのですが、『プラダを着た悪魔』が"名作映画"としてよく名前が挙がることが不思議でならなかった。ただのキラキラ映画じゃないの?と思ってたから。



でも大人になったからわかる。
社会人に「沁みる」映画だ…



だってメインキャラクターそれぞれにめちゃくちゃ共感してしまうじゃないか。。。


アンディはジャーナリストを夢見て片っ端から出版社にエントリーしたものの結局採用されたのは畑違いのファッション雑誌のアシスタントだった。
最初はファッションに狂ってる人達をどこか馬鹿にして、この仕事を心から頑張ろうと思ってなかったみたいだけど、ミランダの突飛な要望に応えられず挫折を経験。そこから仕事に対する意識を変え、置かれた場所で咲く決心をした所から仕事が徐々に楽しくなっていく…

いやぁ、わかる…。社会人、仕事、思ってたのと違う!!って入社当初は愚痴りながらも我武者羅にやってきて、ムカつくことも泣きたいことも経験して、その山を一つ越えると、気に喰わなかったと思ってた仕事も楽しいと思える部分が出てくるんだよね。続けてるうちに仕事を好きになることもある。

そして仕事が上手く回ると私生活が上手く回らなくなる…笑
環境や考えが変わるもんだから、そりゃ人間関係も変わってくるんだよな。
それもちゃんと描かれている。


ナイジェルは、ミランダの右腕としてずっと雑誌ランウェイを支えてきた人。でも遂に自分が責任者となる日が来た!

と喜んでいたのも束の間、ミランダによってその機会は奪われてしまうのだった…。
このときナイジェルは「When the time is right,she will pay me back.」(いつか(ミランダは)借りを返してくれるよ。)と言う。それに対してアンディ「You sure about that?」(確信できる?)と尋ねる。すると、「No.But I hope for the best.」(いや、でも期待しておこう。)と返す…。

おおん…切ない…でも、人生こういうことばかり。
やっと手が届く!!!という時に崩れる。仕事、プライベート、真面目に向き合ってきても裏切られるときは裏切られる。
それでも、このシーンのナイジェルみたいに、仕方ない、また次頑張ろう、いつか叶う、と自分に言い聞かせて前に進んでいくしかないんだよな…。うう…沁みる。


そしてミランダは雑誌ランウェイの鬼編集長。膨大な雑務・無理難題を周囲に求める。大学生の頃は「自分勝手、非人道的な奴」だとばかり思っていたけど、年齢を重ねるとミランダにも共感できる部分が出てきた。
ミランダにも弱い部分はあって(家庭問題)、しかしその悩みを周囲に見せたり仕事に持ち込んだりする事は絶対ない。
物語の終盤で、ミランダは自分の仕事や地位を守るためにナイジェルを裏切った。それを不服に思っているアンディに対してミランダは、あなたも同じことを既にしている、この世界では必要な事だとアンディを諭す。アンディがそれを望んでないとしたら?とミランダに尋ねると、「Everybody wants this.Everybody wants to be us.」(誰もがこれを望んでいる。誰もが私たちに憧れている)と返す。

…ミランダ、自分にこの言葉を言い聞かせてきたのかな。
仕事で成功を掴むためには、家族や友人たちを犠牲にしなければならないことがあったんじゃないか。自分のやりたい事を実現するためにこの言葉を言い聞かせながら苦しい決断もしてきた、今ならそう考えられる。


ミランダのこの言葉を聞いて、アンディは"これは自分が望んだことじゃない"と感じてミランダの元を去る訳だけど、このシーンも本当にカッコ良いし心がスカッとする。


家族や友人を犠牲にしてでも自分の信念を貫き煌びやかなファッション業界での成功を掴むミランダ。
ミランダの側でミランダを支え続け、たとえ裏切られたとしても大好きなファッションの仕事と向き合い続けるナイジェル。
馬鹿にしていた環境でしっかりと咲く努力をした上で、自分の意志で人生の決断をしたアンドレア。


全員の仕事・人生への向き合い方が心に響く。
誰かにとっては間違った生き方なのかもしれない、でも本人にとってはそれが最善の道で全部正解なんだ。


仕事に行き詰って人生について考えるとき、私は『プラダを着た悪魔』を見る。


私も自分が正しいと思った道を
自分の意志で選択して
前を見て歩いていきたい。



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