苦手を克服した先に見えたもの

プログラミングが大嫌いでした。

私の研究分野ではプログラミングスキルが不可欠です。ところが研究室に配属されたとき、私はプログラミングどころかパソコンが苦手でした。パワポは授業で何度か使ったな、エクセルの数式は意味不明。そんな状況でした。

研究テーマをあてがわれて、「まずはこれをやってみて。このプログラムを書き換えるところからスタートすればいいよ。」と指導教員に言われ、プログラミング言語のあの文字列の羅列を見たときの絶望感たるや。

プログラマーほどのスキルは要求されないとはいえ、30代も半ばになってプログラミングを初めて勉強して仕事で使うレベルまで技術を高めるのは骨の折れる作業です。

それでも必要に駆られて使っているうちに少しずつ慣れてきました。今でも常に心がけているのは「プログラムを書くために今時間をかけることで2回目以降に時間を節約できるのなら、そのコストは払う」ということでした。プログラマー界隈で美徳とされる、「楽をするためなら労力厭わない」を積み上げてきたのです。

今やプログラミングスキルは私の強みの一つになっています。私はプログラマーではないので、あくまで私がいる業界では十分強みになるという程度ですが。

今、新たにPythonを勉強する必要に迫られています。流行りの機械学習を研究で使うためです。
プログラミングが苦手だったら、そもそも機械学習を使うというチャレンジはしなかったでしょう。そして、その方が早く博士号を取れる可能性はありえます。その意味では器用貧乏的な失敗を犯しているのかもしれません。
一方で、スキルを集中して高める機会は人生で何度もあるものではありません。そして、私の業界では機械学習のスキルは確実に「売り」になります。

苦手を克服すると明らかに視野が広がり、解像度も高まります。受験勉強のときの成功体験からこのことは理解していましたが、プログラミングを克服できたことで再確認しました。これは実際に体験しないと分からないことで、26歳のとき仕事を辞めて大学に入る決断をしたのは正しかったのだと思える、一つのエピソードです。そして今、もう少しだけ頑張ってみようとパソコンに向かうためのエネルギーにもなっています。

今日もここまで読んでいただきありがとうございました。
それではまた。


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