奥入瀬渓流の歩き方&観光客を増やすための施策
8月半ばに、青森県の奥入瀬渓流に行ってきました。
奥入瀬渓流といえば、日本国内有数の自然豊かな地域で、国の名勝・天然記念物に指定されています。草木一本、虫一匹持ち込んではならない、持ち出してはならない、という徹底的に保護された場所です。
今日のコラムでは、前半部では奥入瀬渓流の魅力とその歩き方をご紹介。
後半部では奥入瀬渓流にもっと観光客を呼び寄せるためにはどうしたらいいのかを、マーケティングの視点でちょっぴり考察してみます。
(前半)
奥入瀬渓流とは
まず奥入瀬渓流とは、十和田湖から太平洋に向かって流れる奥入瀬川の上流部を指します。
全長14キロの自然豊かな渓流です。14キロもの全長に対して、最初から最後までの高低差はわずかに200メートルしかなく、非常に緩やかなアップダウンになっています。
そのため、歩きはもちろん、自転車で移動してもさほど苦になりません。また、渓流と歩道・自動車道が非常に近く、自転車で移動した場合も、その道中ずっと渓流を楽しむことが出来ます。
奥入瀬渓流は苔の産地としても著名で、日本三大苔産地(残り2箇所は北八ヶ岳・屋久島)とも言われており、苔が大好きな方にはたまらない場所とも言えるでしょう。
一方で、非常に保護された場所なので、基本的には遊歩道を外れることはできず、川の中に入って遊びましょう、みたいなことは基本的にNGです。基本的には「豊かな緑を楽しみながら散策する」という楽しみ方に集約されると言ってもいい観光地と言えます。
奥入瀬渓流の歩きかた
さきほど高低差200mと言いましたが、とにかく歩くのがとても楽です。ほとんど平地を歩いているような感覚になります。
また、森の中を歩いているようなものなので、8月中旬でも非常に涼しく、快適です。ただ、8月中旬こそ半袖でもOKでしたが、その他の時期は結構肌寒いらしく、防寒具は必要でしょう。
奥入瀬渓流の間にはJRのバスが走っており、いくつか停留所があります。全長14キロを一気に歩く必要はなく、ここからここまでの停留所、みたいな歩き方をすれば、普段歩きなれていない人でも安心です。
歩くのが嫌な方は、奥入瀬渓流の出発地点である奥入瀬渓流館にレンタサイクルもあるので、自転車での散策も可能です。
宿泊したホテルの方に聞いたのですが、下流は森が中心で、中流は美しい景色(いわゆる奥入瀬渓流のメイン)、上流は見どころのある滝が多いとのこと。滝が好きな方は上流を中心に。静かな森が好きな方は下流を。川の流れを楽しみたい方は中流がおすすめなのかもしれません。
(ここから後半)
観光で見た時の奥入瀬渓流
奥入瀬渓流は、青森県にとって有数の観光スポットであることはいうまでもありません。ほんの数日しか開催されない、ねぶた祭りなどのイベントとも違って、一定の期間中ずっと観光客を集められる奥入瀬渓流は、重要な観光資源といえるでしょう。
強みは手つかずで残された自然そのものであり、それだけで観光客を呼び寄せる強力なコンテンツです。
一方で、自然以外に、これといって面白い施設やアトラクションがあるわけではなく、ひたすら自然を楽しみましょうという場所です。ファミリーで行くのは悪くないですが、かといって子供が全力で楽しめるか、となるとちょっと微妙かなと思います。
子供向けに苔を眺めたりして楽しみましょう、というようなアクティビティがあるようですが、全ての子供にとってわくわくするものかというと、ちょっと苦しいかなという感じがします。
また海外からの観光客としても、初めて日本に来る人は、東京や京都などをすっ飛ばしてくる場所というのも考えにくく、何度か日本に来ているリピーターがターゲットになると考えるのが自然でしょう。
となると、日本人でいうと「旅行好きで普段は都会で働いている単身者もしくはカップル」などが主なターゲットとなり、外国人でいうと「日本が好きで何度か訪日している自然が好きな単身者もしくはカップル」になろうかと思います。
観光客増加への課題と取るべき施策
観光客増加のための施策としてもっとやればいいと思うのが、SNSへの拡散の仕組みと、現地での外国語表記です。
①SNSでの拡散の仕組み
基本的なターゲットとしては、都会に住んでて自然に触れたいと思っている旅行好きの方だと思います。
ですので、奥入瀬の良さをもっと拡散していければいいと思うのですが、そのためにはFacebookやTwitterなどで写真を拡散させていくキャンペーンは効果的ではないかと思います。奥入瀬はとにかく自然が美しく、写真との相性は抜群です。Instagramでの連動もできそうですね。
こういったキャンペーンは割と事例も多く、コストもそこまでかからないので積極的にやっても良いのではないかと思います。
ハッシュタグつけて投稿してくれた人全員に、観光案内所で何か記念品を上げるとかしてもいいんじゃないかなと。
②現地での外国語表記
青森県はインバウンドの施策にも力を入れており、海外向けのサイトもしっかりしたものを持っています。英語・中国語・韓国語など、主要な言語は対応しています。
一方で、奥入瀬渓流現地にいくと、道案内などの案内板がほとんど日本語のものしか無いのが非常に残念です。
たとえば、奥入瀬渓流には「馬門岩」という場所があるのですが、ここはその昔、馬で往来していた時代に、この先は馬が通れないくらい植物があったため、馬をここに置いて歩いていった、というところです。
こういったストーリーは、聞けばなるほどと関心するものばかりなのですが、現地には日本語の看板しかなく、海外の方はそのストーリーを知ることが出来ません。英語版のパンフレットが配布されているのかもしれませんが、現地にもそういった外国語表記の説明があれば便利なのにと思います。
先に挙げたSNSの施策を組み合わせれば、より多くの外国人観光客を誘致できるのではないかと。
また奥入瀬行きたいなぁ。