イーロンマスク、ドイツのAfDを擁護
イーロンマスクが、ドイツのAfDを擁護する発言をしたことが波紋を呼んでいる。AfDを極右と呼び、ドイツの政治シーから排除しようとしてきたドイツの既存政党やレガシーメディアにとって容認できないことであったのだろう。
しかし、AfDは、この間、ドイツ国民の支持をさらに広げており、州レベルでは第1党になる勢いにある。先般のショルツ首相の不信任を受けた2月の総選挙では、既存政党の惨敗とAfDおよび左派系でありなが移民流入の抑制やロシアとの関係改善という点でAfDと共通のスタンスをとる新政党BSWが、大きく議席を伸ばす可能性がある。これを阻止しようとする既存政党と既存メディアのAfD排除スタンスは、功を奏していないばかりでなく、既存エスタブの凋落に拍車をかける結果となっている。
既存政党やレガシーメディアがドイツ国民・市民の生活感覚から乖離していることは、長年ドイツの政治や社会を観察してきた僕から見ても明らかだし、この夏のドイツ訪問でもそのことを改めて実感した。
ドイツを代表する企業における大量解雇や移民政策失敗による市民生活の各種困難は、既存リベラル政党やレガシーメディアへの不信感に拍車をかけており、それは英米をはじめとするG7諸国に共通の動きとなっている。
欧米リベラリズムの黄昏は、すでにウオーラーステインなどが予言していたことだし、最近ではエマニュエル・トッドが的確に論じていることだが、残念ながらドイツ通と言われる日本のジャーナリスト(元NHKのK氏とか)が、そうした社会科学的な見識を欠いた現地マスコミに追随する記事しか書けない結果として、現地で起こっている事態を客観的に反映したものとなっておらず、結果として、ドイツの情勢把握、そしてそれに基づく各種プロジェクトにおける判断を誤った方向に誘導する結果となっている。
こうしたリベラル系メディアの認知バイアスともいうべき問題の結果として、各種事業主体が予測を悉く外してしまい、各種事業の足を引っ張ってしまう事態は、すでにトランプ報道についてのバイアスのかかった英米系レガシーメディアへの日本のマスメディアの追随とその帰結として経験済みのことである。今、日本のドイツ関係界隈は、同じ轍を踏む流れとなっているように思われる。
せめて日本の知識人と言われる方々には、昨今の感情誘導的な現地レガシーメディアの追随記事、又聞き的な記事については、鵜呑みせず、ファクトを確認し自身の頭で考察することをおすすめする。