【雑談】自閉スペクトラム症の人も普通に中学受験の塾にいるよ
雑談です。論理性や一般性のある話ではなく、私の個人的な考えを多く含むものと思ってください。
・ASDの人も塾に来るよ
中学受験の集団塾には、とってもいろいろな人がいます。集団塾だから。その中に、今の呼ばれ方で「自閉スペクトラム症(ASD)」の人もけっこういます。30人に1人くらいでしょうか。
もちろん、そのようなカテゴリーが生まれて広く認知されるようになったため、以前より増えているという側面があるでしょう。小学校で特別級にいるとか、病院で知能検査を受けたとか、事前に申告する方もいれば、後でたまたま知ることもあります。
で、ASDの人が集団塾という社会に身をおいて学習することができるのかというと、普通、別に問題無いです。お薬も飲んでいるようだし、それ以外にもいろんな性格の人がいる中でルールを決めて過ごすのだから、特別扱いすることもありません。大人でも普通にいるのだし。
もちろん、所構わず叫ぶとか手が出るという人だとしたら、そもそも個別とか家庭教師を選ぶのかも知れませんので、もっと大変な人はいるのかも知れません。
・ASDの生徒が成長した話
私は、そういう生徒たちをけっこう愛しく感じます。前にこんな人がいました(適度にごまかします)。
算P「途中の式をしっかり書いてね。」
生徒「ノートを見ないでください!僕のことはほっといてほしいです!」
算P「いや、ほっておかないよ。」
生徒「どうして構うんですか、自分じゃないのに。」
算P「なるほど。なぜなら、これが私の仕事だから、あなたに構うことは自分のことなの。あなたも、自分でここに授業受けにきたんでしょ?」
そんなことを繰り返してほどよい関係になりました。算数ばっかりよくできる人でした。
別の生徒と、こんなやりとりもありました。
算P「この紙は他の人たちも見るものだから、破いちゃダメです。」
生徒「破いてもいいんだよ。」
算P「そうなの?どうして破いていいの?」
生徒「ここではおいらの思い通りになるんだ。」
算P「なるほどね。あなたにはあなたの思い通りがあると思うけど、私にも私の思い通りがあります。他の人たちにもそれぞれの思い通りがあるんだけど、今この紙が破れててその人たちは思い通りになってないです。ここにいる全員が思い通りになることはできませんよ。」
その件以降、彼はむしろ優等生という感じでいつもビシッとしていました。算数がとてもよくできる人だった。
また別の人ですが、思い出深い人もいます。
生徒「ねぇ先生、テキストがない。」
算P「そう。」
生徒「なんかね、ママが入れ忘れたみたい。まぁママも忙しいからね」
算P「そうなの。」
生徒「だからさ、コピーみたいなやつくんない?」
算P「なるほど。テキスト要るんですか?」
生徒「そりゃね、ないと受けられないから。できないことはないけど。」
算P「誰がテキスト必要なんですか?」
生徒「まあ使うのは僕だね。」
この人はもちろん毎日のように忘れ物をしますが、こんなやりとりが続いて2年経ったある日のこと。彼はまたテキストを忘れて貸してもらいにきました。
生徒「テキストを忘れました。貸してください。」
算P「…はい。」
生徒「…すいません…。」
蚊の鳴くような声と表情が、強く記憶に残っています。
彼らは「自分」を大事にして「他人」を感知しないところがあったり、「ルール」「システム」を信頼したりする傾向があるので、算数的な会話がよく通ります。算数の考え方を生活に活かすという私の思考とも似ています。
・でも弱い塾では預かれない
少々のイレギュラーに対しても動じずにサービスを提供できるのは強い運営力のある塾だと思います。しかし、多くの場合はあまり好ましくないことに、対応力はスタッフ個人の器にかかっていると思います。上に挙げた人たちは私の離職と同時に退塾してしまいました。
生徒の話は無限にできるので、また雑談したくなったら書いていきます。
2024年9月15日
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