【算数】開智中2024で出題予定の「さしがねの重心」について。
【入試ちょい見せ会】
2024年の4月に「開智所沢中等教育学校(仮称)」が新たに開校します(学校HP)。HPと校舎を造り、説明会を開き、開智所沢小への編入を増やし、と一般企業のように活動を推進し、注目が集まっているようです。
開智所沢中の入試説明会において、理科で「さしがねの重心」の作図・計算についての問題を出題すると情報が出たそうですので、取り上げてみます。ちなみに開智所沢中の入試は「開智中」と同じ問題が使われ、一回の入試を受けると2校以上の合否判定をしてくれる、とっても便利な入試です。
【さしがねの重心の問題】
では問題。指矩の重心と聞いたらこれ以外無いと思うのですが。
まずは基本ポイント3点。
重心とは物理の概念で「物体の重力がかかる作用点」のことで、イメージとしては、下から針を刺すと倒れずに釣り合う点、もしくは、上から紐で吊るすと回転せずに静止する点という感じでしょう。つまり、力学のてこの分野です。
指矩は平たいので「平面図形の重心」と置き換えてよいでしょう。数学では「幾何中心」ともいうようです。三角形の重心は中学で学びますね。
くぼみの無い図形なら重心は図形の内部にありますが、わざわざL字型で出題するということは、重心は図形の外部の空中にあると考えて間違いないでしょう。そういう奇妙なこともあると思ってください。
さあ、この先に進みたければ、算数の問題を解いてからにしてもらいましょう。
【中ボスL】獲得アイテム:2つの重心
【中ボスJ】獲得アイテム:天秤
さて、もう解けるようになっていることに気づいていますか?(催眠術)
【ラスボス】ここが核心です
図形と重心の関係をお絵かきしてみると、例えば以下のようになります。
上の例で、図形を2つの長方形に分割すると、それぞれの重心は対角線の交点であることは容易に理解できると思います。つまり、面積や形を無視して、この2点のみに重さがかかっている図形とみなすことができます。そして、さらにこの2点を集約した1点が図形全体の重心です。重さの比が5:3ですので、両方の点から3:5の距離の点が重心ということになります。これはてこの基本。
同様に最初の問題も・・・
指矩を2つの長方形に分割すると、面積比が18:42=3:7となるので、各々の重心を結んだ線を7:3に内分する点が全体の重心です。細部に注意が必要ですので、ご自分で練習してください。長方形の分け方はもう一通りありますね。
※実際の指矩は、幅:短辺:長辺=1:16:32と標準形が決まっていたり尺貫法が元になっていたりするそうで計算がややこしいです。今回は長方形を分割しましたが、試験では幅を無視して直線として扱う設定になるのではないかと予想します。T字型定規も想定しておくとGood。
【裏ボス】ぼくが差し金だヨォ
2つの小問から、その間にある核心を突き止めていただきました。ところで、下の問題を見てください。もしかしたらこんな条件で出題されるかも知れません。
長さも重さも書いていませんので比が分かりませんが、こんな状況でも重心を見つける方法を考えつきました。同じ形の問題は見たことがありません。解説↓
【余談と追加情報】
重心という概念が面白いですし、図形の感覚を養うのに適していると思います。岐阜数学教育研究様の記事(論文?)も勉強になりました。
ところで開智&開智所沢の別の回の理科では「万華鏡の反射」についての作図・計算も出るそうです。理科なら向き・形・個数を答えさせる程度かなという気もしますが、重心同様、算数的に理解を深めておくのがよいでしょう↓
「理科が完全に算数になってる現象」はよくあります。算数でカバーです。
2023年12月28日