2023年 愛知淑徳中 算数分析
設問分析
2023年、愛知淑徳中の入試を振り返ります。出題傾向、形式自体は例年通りでしたが、難しかった昨年と比べるとやや取り組みやすくなった印象を持ちます。昨年度の平均点はおよそ受験者50点、合格者60点でした。本年はそれよりは5~10点近く上がると思われます。
愛知淑徳中の算数は設問数が多く、典型題から一見すると初見のような問題までバランスよく出題されています。一方で、合格点はそれほど上がりませんから、★1レベルの問題をしっかり準備し、本番で見極め、正確に合わせるという必要があります。
大問1 計算問題
正解することが必要不可欠なのは言うまでもありませんが、短時間で済ませることも重要です。それほど複雑ではありませんから、1問1分で解けるくらいには練習しておきたいです。
大問2 小問集合
典型題や典型テーマの出題がほとんどでした。(8)が手を動かしながら書かなければなりませんが、選択肢が与えられていた分、正解しやすい問題でした。
大問3 平面図形
折り返しを利用した問題で、面積から逆算して長さを求めさせる良い問題でした。3:4:5を知っていれば瞬殺できてしまうことで問題としてどうかと思われる面も確かにありますが、大問3で登場する問題ですし知識でも現場思考でもどちらでもよいと思います。
大問4 棒グラフの読み取り
グラフを読み取りつつ、最頻値や中央値の知識も問われています。とはいえ、問題自体はごくごく基本。
大問5 2者間距離グラフ
受験では定番となった問題。苦手とする受験生も多い問題です。問題文の文章と合わせて解けば短時間で答えられますが、差がつく問題ということで★2にしました。
大問6 平面図形
折り返し角度の問題です。青山学院中等部で毎年出題されるタイプの問題ですが、そこそこの難易度があります。対策してないと辛い問題だったとは思います。
大問7 立体図形
愛知淑徳中頻出の問題です。今年は立体をとらえることは簡単ですが、体積と表面積を正確に求めることの作業で差がつきそうな問題です。立式→計算の流れをどれだけ意識して正確に処理できたかが問われます。
大問8 数の性質
一見壮大な問題に見えますが、実はかなり短時間で処理できてしまう問題です。読解力と試行力を問われたいい問題だと思います。
大問9 条件整理
サイコロ2個ですから36通り調べれば・・・というわけにはいきません。着眼点をもって取り組めば(2)まで正解できます。ただ、本セットの中では一番気づきづらく、正答率も低くなったであろうと予想されるので★3としました。
大問10 条件整理
うそつきを仮定して3パターン全て調べていくだけの問題。大問9と比べると得点しやすい問題です。記述も求められるので、しっかりと表現して完璧に答えたいところです。
愛知淑徳中に合格するために
愛知淑徳中の算数入試は、問題量も多く初見問題への対応力もある程度は必要です。しかし、最優先すべきは基礎力の定着と基礎的な問題を本番で確実に合わせることです。出題分野はある程度広く、この分野は捨てていい、というものはほとんどありません。(しいていえば、場合の数はほとんど出題されません)
その中で、いくつかの分野に特徴的な出題が見られます。
〇規則性や割合に関しては小問での出題が多く、基本的な技術で解決できる。
〇平面図形は比を利用した出題が少なく、角度や面積を利用して解くものが多い。
〇立体図形は基本的な図形の性質を理解しているか問うているものが多い。
〇速さはグラフを利用した出題が多い。
〇最大の特徴は、条件整理の出題が他の学校と比べてかなり多い。
つまり、普段の学習においては根本の理解や公式の理解・使いこなしができるかが求められていて、さほど難しい典型題の準備は必要ありません。
また、条件整理の問題も多く、ほどよく思考力も求められています。ほかの学校と比べて出題数の多い条件整理の問題は十分に準備しておきましょう。
条件整理の対策って難しいんですよね。やたら複雑な問題を出題する学校もありますし、基礎的な解法で解けてしまう問題もある。愛知淑徳中は基本的には後者です。時間をかけて対策することで慣れと自信がついてきますから、過去問を中心に対策しましょう。ということで、過去問は小6の9月からは解き進めていって構いません。問題量も多いですから、得点をとるための過去問ではなく、入試のレベルを知り普段の学習にフィードバックするための過去問にしましょう。