2023年 東京女学館中 算数分析
設問分析
<2023年 第1回入試 平均点>
受験者 55.1点 合格者 69.5点
東京女学館中は、2/1の午前と午後、2/2の午前と午後で計4回の入試を開催しており、どの入試も実質倍率は約2倍となっています。そのため、多くの受験校は2/1の午前中が一番合格しやすいのに対し、東京女学館中においては決して2/1の午前中が一番受かりやすい学校ではない、ということになります。
ただ、今年の入試では2/1の問題は思考力問題が少なく設定されており、普段算数が得意で満点近くとった受験生も少なくなかったと思います。そのため、受験者と合格者での平均点の差が大きい試験となったと考えられます。
大問1 計算問題
短時間で要領よく正解するのはもちろんですが、計算問題に限っては必ず前も検算しましょう。
大問2 小問集合
比較的有名な論点ばかり出題されています。式と計算だけでなく、図や考え方の工夫を用いて、より確実に正解してね、といったメッセージが隠れていそうな問題が続きますので、一問一問丁寧に作業して正解したいです。
大問3 規則性
誘導も親切な規則性の問題。(3)は式に落とし込んで計算するように設計されています。
大問4 ニュートン算
やはり合格点に乗せるためにはここは落とせないでしょう。きちんと向き合って学習した受験生にはボーナス問題であったといえます。
大問5 数の性質
約数の個数に関する問題で、地道に調べていくだけでなく背景の理解を求められる大問です。有名な論点ですが学習が手薄になっている受験生も多いと考えられ、差がつきやすい大問だと思います。
大問6 立体図形
これも有名な問題ですが、(1)から切り口が正六角形になり、なおかつ展開図に記入する問題であったため苦戦が予想されます。(2)は切り口が台形になるように切断し、①が表面積の差、②が体積を求めます。表面積の差は細かいミスも出やすい問題であり、②の方が正答率が高くなりそうな問題です。
大問7 速さ
グラフが登場する速さの問題。比を利用するよりは、ひとつひとつの速さ・時間・距離を求めていきます。さほど難しくありませんでしたが、全体の時間を考えるとかなり苦しく感じた受験生も多かったことでしょう。
東京女学館に合格するために
東京女学館の算数の入試の特徴は問題量が多いです。また、思考力問題の割合が少ないため、練習を積んだ受験生ほど高得点を取りやすい傾向にあります。まずは、試験に力負けしない馬力が必要です。
そのための心構えとして、
一問でも多く典型題をマスターし、反射的に解答できるようにする。
解法をなるべく効率的なものとする。
の2点が必要です。要するに、正しい解法でたくさんの典型題を解きましょう、ということです。算数の問題に対して数を当てはめて無理やり解く、ような解法はNGです。問題文を読んで、式だけで解くのか、図や表にまとめるのか判断し、それを実行するといったサイクルが効果的な解き方です。このサイクルは短期的にはなかなか身につきませんから、普段の学習から復習を中心に正しい解法で学習してきたかどうかが問われます。
難問とよばれるものはほとんど出題されませんから、試験でも見たことのある問題をきちんと正解出来れば合格点に届きます。また、設問数が多い=配点が低い、ですから、トータルで1~2問のミスがあっても合格圏にはとどまることができます。もちろん、ミスがなるべくないように解くことは大切ですが、個人的には正しい解法で解き進めていればミスの出やすい問題はほとんどない入試だと思いますので、とにかく解ききることができるパワーが求められる学校です。