2023年 早稲田大学高等学院中等部 算数分析
設問分析
やや思考力重視の入試となった2023年の早大学院入試です。難しく感じた受験生が多かったと思います。早大学院の算数は年度によりますが、基本的に難しいです。本年の入試は早大学院の受験者層を考えると40点台からも合格点がいたのではないでしょうか。しかし、得点できる基本問題も十分にありますから、50点稼げていれば十分戦えそうです。
今年は大問1から見た目重たそうな問題が多く、算数が得意な受験生でも苦労したのではないでしょうか。
本年の問題は、栄光学園、筑駒などの志願者にも是非取り組んでほしい入試ですね。
大問1 小問集合
(1) 見た目はいかついですが、単純な計算問題です。7×17×17=2023は常識ってことですね。
(2) 約束記号の問題。a=1のとき以外、素数が必ず奇数になることに注目するとaが奇数のときだけ調べればよいことに気づきます。とはいえ、地道に書いてもすぐに見つかります。
(3) 角度の問題。やさしめです。
(4) 作れない数の3種類版です。この問題、面白いですね。今年から私のテキストにも入れようと思いました。
大問2 立体図形
立方体を対角線で宙づりにした図形の分析問題。実質は平面図形ですが、扱っているテーマは灘中2日目や高校入試でも見かけるテーマ。設問はそこまで難しくないのですが、全滅してしまった受験生も少なくないでしょう。
厄介な大問です。早大学院ではこういう良問ではあるものの試験場では避けるべき問題も少なくないですね・・・。
大問3 水そうグラフ
得点を一番伸ばしたい大問。(3)まではかなり易しく、見た目以上に短時間で解ききれます。(4)はつるかめ算で解けばよいのですが、計算が少し大変か。
大問4 規則性
パスカルの三角形の応用。これも非常に面白く良い問題です。丁寧に調べあげていけば正解できるので、どれだけ時間を残して到達できたかが重要でした。
早大学院に合格するために
算数の基本事項を確実におさえるのは当然ですが、早大学院の入試はどちらかというとその場で考えるタイプの問題が多い入試となっています。こういう入試では、塾で開催されている月ごとの範囲の決まったテストの偏差値はあまりあてになりません。程よい難易度の思考力問題をしっかりと解き、自分が解けるレベル、作業できるレベルを体得していなければなりません。一つの目安は過去問でのトレーニングですが、過去問学習だけですと効率は良くない部分もあり、指導者のアドバイスも参考にしたいところです。
算数が本当に得意な受験生は得点を伸ばして差をつけるチャンスです。一方で、算数が苦手な受験生はどう取り組むか腕の見せ所です。全問まともに向き合っていては到底時間も足りず得点が伸びないでしょう。
時間配分や解くべき問題のみきわめ練習は過去問を通じてきちんとおこないましょう。